2022.12.16 Fri
'93y XL883 カム回り分解とチェック。

オイルクーラーが全然熱くならないのでクランキングしてチェック。オイルは問題なく回ってました。

ナラシを終えたエンジンオイルをチェック。極初期のアルミスラッジは溶けていますが、初期ナラシでは平均的なものですので問題ありません。

タンクやマフラーを外し、カムカバーを外す準備を整えました。ここから作業開始。

オイルポンプのホースフィッティングからだと思われるオイル漏れで下回りはベタベタに汚れています。まぁしかしリジットスポーツはこんなものでしょう。

あまりに酷いのでガソリンで洗浄しながら進めます。折角開ける機会ですから綺麗にしたい。

カムカバーを外すのでまずはロッカーASSYを外します。

トリガーローターもかなりお疲れな様子。機能的には問題無いです。

XLのカムカバーボルトは長さがイロイロなのでこうして覚えておきます。誰もが行う定番の手法。


カムカバーが外れました。カムマークを合わせた位置で外すのが自分流。

で、早速異音の原因が分かりました。フロントのインテーク側カムギアが1枚欠けて無くなってました。聴診器で聞こえた位置とピッタリ合致します。しかしながらギアのカケラは何処にも無かったのでかなり以前に欠けてポンプで粉砕されたんだと思います。
しかし、ギアが一枚欠けているとあんな変な音が出るのですねぇ〜今まで聞いた事のない異音でした。


カムを支えるケース側のブッシングをチェックしましたが、フロントのエキゾースト側だけ回転が重いです。これはおそらくカムギアが欠けた際、フロント側IN/EXのギアに瞬間的に噛み込み、巻き込まれた際にカムボスに負荷が掛かった為ブッシングが痛んだ、と推測出来ます。ここは打ち替える訳にもいかないので水ペーパーでサラッと整えて、という感じでしょうか。目視で傷は無いのでそれで問題無いと思います。

で、オイルポンプを外します。ピニオンギアやオイルポンプドライブギアを外さなくてもポンプは抜けます。

まぁ汚れようは酷い訳で、、綺麗にするやり甲斐があります。


ここで先日アメリカのサイトで注文したドィチェのコネクターと端子が届きました。Fedexで本当に3日で届きました。素晴らしい。

4カムの場合、カムカバー側ブッシングとのセンタリングも非常に大事なのですが、明日カバーを綺麗にしてから確認したいと思います。

今日取り敢えず出来る作業は此処迄です。

で、外した純正オイルポンプを洗浄しがてら比べていたのですが、驚愕の違いでした。

外観は全く同じ。左側が取り外したポンプで右側が新品で取り寄せしたH-D純正部品 #26204-91A。

新品ポンプに組み付けオイルを塗り込んでおく為分解したのですが、まずパッと見てトロコロイドギアの大きさが全く違います。いつの年式からかXLのオイルポンプは容量アップ(つまりは強化対策)してある、とまことしやかにネットで語られているのを読んだ事はありますが、具体的な記述は見た事が無かったので、当方も正直知りませんでした。

ギアを抜いてみて唖然としました。後期ポンプは送り側ギアが倍ほどの厚みになっています。同じポンプボディサイズでありながら、内部を極限まで削り込んでオイルの流量を倍近くにアップしています。

もうこれは別のポンプですよねぇ、、前期ポンプの下部カバーには"26487-90"と刻印があり、後期のポンプカバーには"26213-07"と刻印があります。車体にポンプが付いたままでも確認出来る位置ですので、前期か後期か誰にでも判断出来ると思います。
品番からラバーマウントXLは後期ポンプを採用していると思われますが、1990年代のリジットスポーツではどの年式からポンプが変更されているのか不明です。比較的メカノイズが多いリジットスポーツの異音を減らしたり、エンジンのヒートを抑えるにはこの後期ポンプ流用はベストだと思います。1989年式以前の4速XLでも使えるんじゃないかと思います。
なお対策済純正オイルポンプはHDJから今も購入可能です。

カム側とロッカーへの油圧低下だと思われる異音がこのXLでは鬼門となっていましたが、ほぼ原因が特定出来たんじゃないかと思います。
しかしながら欠けたカムはもう使えないし、今回ポンプやタペットも新品を導入しています。原因が解決したとしても、オーナーさんの懐具合には多大なダメージが及ぶ訳でして、仕方ないとは言え、そこは本当に申し訳無い限りです。

続きます。
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