2022.11.09 Wed
定休日返上。
まぁインスタの記事と被る事も多いので何ですが、ブログ用にはもう少し感想を記しておこうかと思います。
今回作業したF19"/R18"のグライドホイール交換ですが、他のFXRやFXDBで行ったF18"/R18"のセットアップに比べればマイルドで、良い意味での「ハーレーらしさ」はしっかり残ります。しかしながらバネ下軽減とホイールサイズ交換に従う車体追従性の良さは特筆するところで、国産旧車(得手してF19/R18という組み合わせは旧車に多いのです)と同じ、とは言いませんが、ハーレーらしからぬ軽快な動きとなります。
リア18インチ化で若干後ろ側の車高が上がるのですが、それに加えてフロントサスペンションの突き出しを10mm出したので更に車体のディメンションは変わっています。
もともとキャスターの寝ているハーレーですが、キャスターを立てる事による恩恵は計り知れないものがあります。まぁ乗り手の好みもあるので一概にはお勧めは出来ませんが、自分個人としては重いハーレーは軽快に動く方が乗り易いし疲れないと思っています。
今回点火をTWINTECからDYNA2000iに交換しましたが、序でにオイルポンプ、タペット、カムまで交換させて頂きました。HVHPポンプで油量が増えエンジンからの排熱と、オイル流量が増え潤ったお陰でメカノイズが減った、と感じますが、多分これはいつも言う”プラシーボ効果”だと思います。
カムについては先日まで作業してて頻繁に乗っていた青い'90y FXRがEV-3でしたので、3つのカムを正確に比べる事が出来ました。もともとこの車両は純正カムでしたが、シリンダーヘッドがエーデルブロックでしたので全域でストックの2割り増し位のパワー感がありました。
EV-27はご存知のとおり重量車用の中〜低速寄りのカムです。EV-3はどちらかと言えばトップエンド寄り、高回転を回して気持ちの良いカム。どちらのカムをチョイスしても問題無いと思いますが、のんびりトコトコ走るのが好きだったり、信号スタートでの出足のトルク感といったものが好きな方には絶対にEV-27です。
実際EV-27は純正カムよりもリフト自体は低かったと記憶しています。しかしバルブが開いている時間が長く、ましてやエーデルブロックヘッドにはビックバルブが入っていますから効果的面という訳です。
例えば早めにシフトアップしていって5速に入れたとしますよね?5速1500-1600rpm位でスロットル操作だけでアクセルを開けていっても4速と勘違いするほどチカラがあって粘るので、ついもう一速シフトアップしそうになります。「トルクが太い=乗り易い」これはクルマでも単車でも共通です。
車体ディメンションを変更した事に加え実際の車重も軽くなっていますから、カム云々、というよりも今回の作業では車体全体のバランスのブラッシュアップを図りましたので、カムは所謂”オマケ”程度。それでも随分楽な感じに乗れるようになりましたので「当たり」のオマケですかね。笑

サスペンションは凸凹した路面の悪い箇所でも突き上げも無く快適でした。しかし当方の体重ですらリアはフルボトムしているのでプリロードは上げざるを得ません。このあたりはもう少し乗り込んで調整する必要があります。追い込んだ結果このサスペンションでは駄目、という事も往々にあるかと思います。

フロントのオクムラさんの”MEフルチューン”はオーナーさんの体重に合わせて調整してあるので流石に良く動きます。動き始めがもの凄く速いのに奥で粘る、とでも言いましょうか、収束も速いです。キャスターを立てて更にフロント側にシゴトさせるようにした訳ですが、それも正解だったと思います。

こんな仕事をしているとやたら乗り難い車両だったり、逆に凄く乗り易い車両だったり同じモデルの車両でも全く違う事に驚きます。仮に乗り難い、非常に疲れる車両だとしても、正しい知識と判断で見直せば、どれだけでも車両は変わる訳です。
正直この車両は他のFXRに比べて何故か重く感じて扱い難く、乗る度”身構えなきゃならない”ようなちょっと気難しい車両でした。今じゃちょっと信じられない位従順で乗り易く感じますが、あとはこのフィールをオーナー様が気に入ってくれるかどうか、ですね。そこが一番難しい。
まだ安心するのは早いですが、まぁ狙い通りな雰囲気でほっと一息です。