2022.10.31 Mon
'89y FXRS カム回りの修理とアップグレード作業。
この車両のオーナー様は浜松在住で、自走で当店まで来られましたがいつから異音が出ていたのかははっきり分かりません。

カムシールからのオイル漏れは無し。シールが当時の金属製のものからゴム製のものに交換されています。どこかのタイミングで誰かが触っています。

FXRはエンジン作業を行うには必ずフロントのエンジンマウントを外さなければなりません。非常に面倒です。

フロントのエンジンマウントは当店で交換しており今のところ問題無し。

カムカバーを外すのでまずはロッカーASSYを外します。




タペットブロックも当店では一度も外しておりません。ガスケットを交換しておきたいので外しました。


カムカバーを外しました。新車からのガスケットなら硬く固着してますが、簡単に剥がれたのでここも触ってありますね。カムは純正の”L”で、カラーコードの緑のペイントがしっかり残っています。

カム山が虫喰いになっています。残念ながらカムは交換です。

ボスのところもインナーカムベアリングでダメージを受けた跡がありました。

インナーカムベアリングを交換します。全てニードルになった後期ベアリングに交換されていました。この車両は新車からの1オーナーで現在の走行距離は2万キロ。何故以前にベアリングを交換して、それにも関わらず短いスパンでダメになってしまったのか不思議です。まぁ最も考えられるのは油圧の低下かも、、

ピニオンシャフトにも線傷が多いです。オイル管理が悪かったのか油圧が低いのか、、爪が引っ掛かるような深い傷ではないのでこのまま続投します。

カムはアンドリュースEV-27が国内にあったので本日手配。明日には届く筈です。

で、インナーカムベアリングをセット。


タペットについては外観上の縦傷やローラーの虫食いはありませんでした。しかしリアバンク側のインテークのカム山が虫喰いでしたのでタペットも信用出来ません。新車から無交換だと思いますのでここは新品に交換する方向となりました。タペットローラーのニードルベアリングが粉砕してもエンジンはブローします。

今日は此処迄か、と思っていたのですが、オーナーさんと話し合った結果、オイルポンプもハイボリュームタイプに交換しておく事になりました。

お馴染みS&S製のHVHP、今買うと10万円近くします。当店長期在庫ですので特価でお出し致します。



実のところFXRで車体にエンジンをセットしたままオイルポンプを交換するのは初めてです。ソフテイルやダイナでは経験があるのですが、FXRの場合、当店では腰下からの作業が多いので、エンジン単体の時にしかポンプを装着した事がありません。

オイルポンプボディ固定用のボルトはボディを90度回転させる事により全て抜き取る事が出来ました。

しかし、オイルポンプシャフトがどう考えてもT/Mケースに当たって抜く事が出来ません。まぁ結論から言えばエンジンを下ろせ、という事です。

途方に暮れておりましたが、S&S製のシャフトと純正シャフトを比べたところキー溝の位置や深さが全く同じです。そのうえ今まで動いていたポンプシャフトは傷ひとつ無く綺麗でしたので、シャフトだけをそのまま流用する事にしました。
S&S製とH-D純正のポンプギア、キー、シャフトの組み合わせを全て変えてみて、どれにも互換性がある事を確認しました。

オイルポンプ取り付けボルトの締め付けトルクは比較的弱くちょっと心配になるのですが、この車両ではケース側のネジ山周辺が盛り上がる程のトルクをかけられていました。凸面が出来てガスケットが剥がれない程でしたので、オイルストーンで削って平らにしました。当然ですがここの面が出ていないとオイル漏れや油圧低下に繋がります。

で、S&Sオイルポンプをケースにセットする訳ですが、シャフトを残したまま装着しないといけないのでかなり苦戦しました。キーが溝から外れてその度落ちるので何度やり直した事か、、ひたすら成功するのを信じて作業を続けるのみ。

カム室内部のオイルポンプドライブギアもセット出来ました。

明日も続きます。

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