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MARUMASU Motorcycle Lounge.

2006 - 2022 Specializes in Harley-Davidson / Japanese Classics Maintenance & Speed Pro Shop " The Spirit of Bonneville Salt Flats" Land Speed Racing. / 2010/2011 FIM World Speed Record : 2011/2014 AMA National Champion : 2017 Fastest EV Motorcycle in Colorado Mile Race.

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'93y XLH883 腰上のチェック。

酷暑が続いています。皆様お身体に気をつけて。

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昨日洗浄液に漬け込んでおいたピストンは完璧にカーボン除去出来ました。使用するかどうかはまだ分かりませんが、計測するにも綺麗じゃないと誤差が出るので意味がありません。

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シリンダーヘッドのインテークポート及びエキゾーストポートの状態は悪く無いです。バルブシールのみの交換でいけたら最高なのですが、一度バルブを抜いてみないと分かりませんね。取り敢えず燃焼室のカーボンだけ除去しておきます。

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シリンダーのガスケットを除去します。

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此方はリアのシリンダーですが、シリンダーベースからオイルリークしています。まぁ5万キロも走れば多くのエボリューションエンジンはこうなっています。

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で、ガスケットが撤去出来たら中性洗剤を使って水洗い。

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シリンダースリーブは直ぐに錆びる為、洗浄してエアブローした後はラスペネを塗っておきます。883はピストンが小さいのでスリーブの肉厚が半端なく分厚い。ハーレーのアルミシリンダーでは一番重いんじゃないかと思います。放熱性は悪そうですが乗り手の足には優しい?のかも。笑

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一旦オイル分を完全に拭い去ってから、CRCやラスペネで薄くコーティングした状態で初めてシリンダーライナー内壁のチェックが行えます。下はドライのままの状態で、酷く縦傷が入っているように見えてしまいます。
因みにオイル分が残っていると今度は逆に線傷を見えなくしてしまうので正しい判断が出来なくなります。

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これがラスペネを薄く塗付した状態。シリンダーの前後方向にピストンは首を振るので縦傷が多く入るのがハーレーの特徴です。シリンダーライナーも前後方向に擦り減るので楕円に摩耗します。これはV-TWINの場合、必ずそうなります。

沢山縦の線傷が入っていますが、爪が引っかかるような深い傷は無くてどれも均等です。これは正しく距離を重ねた証拠で5.4万キロ走行した故正常な摩耗具合です。流石にオイルを保持する役目のクロスハッチは消えてしまってますが。

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計測した結果、最も擦り減る縦方向で5/100〜6/100mm、横方向は一律5/100でした。ギリギリリミットですので通常であればO/Sピストンへの交換が必要になります。

トラブル無く走行距離を重ねたとしても、特にストローク量の長い空冷V-TWINだと5万キロ程でリミットを迎えます。ここからは少しづつオイルを消費するようになったり、低回転時にフラッタリング音が出だします。それでも調子は悪くないまま乗れる事がほとんどですが、どんな状況であれ5万キロ、10万キロ、15万キロと、5万キロ毎にほぼリミットまで擦り減ります。圧縮比も徐々に落ちますので新車のエンジンの状態とはかけ離れたものになる事は間違いありません。
どのタイミングでO/Hするかはオーナー様次第ですが、5万キロはひとつの目安だという事は肝に銘じておいて下さい。オイルを消費するようになっても継ぎ足せば走りますが、それは正しい状態では無いという事を理解して頂きたいと思います。

仕事柄自分は組み直したばかりのフレッシュエンジンに数多く乗りますが、やはり正しく圧縮があるエンジンは乗っていても力強くて気持ちの良いものです。これはハーレーも国産車も同じです。


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以前●●万キロ0/H無しで走っているけどマメなメンテナンスをしているから調子が良い。と、名のあるショップさんが自慢げに話すのを聞いた事があります。少なくとも内燃機を弄っているプロが言う事では無いと思います。ピストンが絶えず上下運動を繰り返している以上、擦り減るものは普通に擦り減ります。それを止める事はどんなに腕が立つメカニックだとしても不可能です。
リミット超えで乗り続けている車両はどんなに磨いたりしても大事にしているとは言えない、というのが個人的な意見です。

”乗り物”は所詮人が作った”機械”ですから摩耗するのは仕方ありませんが、ハーレーの最も良いところはアフターパーツが豊富なお陰で下手をすると人の人生よりも長く車両が生き続ける可能性がある、という事じゃないかと。
エンジンメンテナンスにはそれ相応にお金も必要ですから、おいそれと行う事が難しいのも重々承知ですが、大事にするなら一生に一度位はエンジンを開けてリフレッシュしてやるのも車両への愛情だと思います。

但し数年毎に車両を乗り換えていくような方には全く必要ありませんので悪しからず。笑
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