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MARUMASU Motorcycle Lounge.

2006 - 2022 Specializes in Harley-Davidson / Japanese Classics Maintenance & Speed Pro Shop " The Spirit of Bonneville Salt Flats" Land Speed Racing. / 2010/2011 FIM World Speed Record : 2011/2014 AMA National Champion : 2017 Fastest EV Motorcycle in Colorado Mile Race.

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'87y S&S XLH1200 トップエンドリビルト作業〜其の壱。

2017年1月に組ませて頂いた車両のエンジンリビルトとなります。

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今日は画像多めです。エンジン組み上げ後5年余りで6万キロの走行距離。新車時からだと合計21万キロという、オートバイにしては途方もない走行距離ではないかと思います。

走行距離が6万キロですので致し方無い部分もありますが、それでも燃費走行に振った燃調が今回のトラブルの引き金に加担しているであろう事実はこの後の画像でも分かるんじゃないかと思います。空冷エンジンでの極度のリーンバーンは内燃機寿命(=O/Hサイクル)を縮めてしまいますから何事もやり過ぎは禁物です。

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分解する前にまずは外観上から分かる問題点の確認から。F/R共にシリンダーベースからオイルリークがあります。ここはS&S製の灰色のガスケットを使用していた事もあって恐らく寿命だと思います。4カムXLだと大凡5万キロ位で駄目になるイメージがあります。

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最も問題だったのはフロントバンクのヘッドガスケット抜け。始動時にキン!という金属音がするだけであとは普通に走るし違和感は無かったらしく、ガスケットが抜けてからも相当距離を走ってしまっています。オーナーさんのガレージでエンジンを始動した瞬間にヤバイ!と直ぐに分かるレベルでした。

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スパークプラグは極の部分が白いです。ハーレーでここまで白くなるのはちょっと危険な領域で、プラグの番手も5番という薄さ。トコトコ乗られるオーナー様ですので壊れなかっただけだと思います。これは故意に燃費を稼ぐ為、敢えてキャブセッティングを薄く振っており、FCRの加速ポンプも殺して最大でリッター当たり30キロを超える事もあったそうです。

2.25ガロンタンクでロングに走る事が多いのなら燃費に拘るのは十分理解出来ますが、それでもしエンジンが壊れていたら本末転倒だと思うのは当方だけでしょうか?排気温度計やAF計をセットすればどれだけの燃調で走っているか一目瞭然ですが、そこまでしないにせよロッカーカバーを触ってエンジンがヒートしている事を理解出来るようになって頂ければ、と思います。

オイルタンクの油温計はあくまで”目安”でしかなく、エンジン、特にヘッド温度はかなり重要です。非接触型温度計も今は安価に入手出来ますから日頃から見る癖を付けて頂くと良いかもしれませんね。

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フロントが160PSI。

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リアが140PSI。縦置きVツインエンジンの場合、リアが熱的にキツくなるのは常識です。よってリアバンク側の方が劣化が早く、コンプレッションが落ちている事が多いです。

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インテークマニホールドはインジェクション用を改造したと思われる口径の大きいものが装着されています。当然それに合わせてFCRのスピゴットも加工されており、ナイスアイデアな加工です。
この車両は他店様でも面倒を見て頂いているので当店だけが触っている訳ではありません。ただオーナー様の走り方を考えた場合、ストックのインマニの方が口径が小さいので流速が出ますし、燃費にも貢献するような気もしないではないですが、、折角上手に工作してあるのでここは触りません。

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ロッカーベース内部にもオイルが焼けたような跡が残ります。過走行だったり年式の古いエボでも多く見られる症状です。

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どんな些細な擦れや焼けも逃さないよう細かくチェックします。エンジンパーツをじっくり観察すれば、自ずと使われてきた状況は分かります。

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フロント側ヘッドボルト。

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リア側ヘッドボルト。

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フロント側ヘッド。プライマリー側に完全に吹き抜けています。

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リア側のヘッドガスケットは大丈夫でした。リアバンク側が抜ける事が多いのですが今回はフロントでした。

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ハーレーの場合前後方向にピストンが首を振る事が多く、どうしても若干の縦傷が入ります。計測した訳では無いので今はなんとも言えませんが、クロスハッチが残っている部分もあります。ただ経験上前後方向に楕円に摩耗している、というのがハーレーのシリンダー摩耗では定番なので、左右方向はOKでも前後方向がNG、という事が多々あります。

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ピストントップのカーボンは極普通。変な燃焼を起こしていた形跡は見られません。

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ここでアクシデント。リアシリンダーを抜いたところシリンダースタッドホールから大量のオイルとオイルスラッジがドバーッ!とケースに流れ出ました。オイル通路とは全く関係無いカムサイドのリア側です。この時点では全く意味が分かりませんでした。

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ピストンも問題なし。

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リア側のピストンピンが熱で変色していますがこれもよくあるパターン。

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オイルがドバッと出たリア側のヘッドをチェックするとインテークバルブにあり得ない量のスラッジが堆積しています。バルブシールが経年劣化か熱で駄目になっただけなら良いのですが、バルブガイドなら厄介な事になります。

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此方はフロント側インテーク。

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バルブを抜いてみました。見た事無い量のスラッジが正に”てんこ盛り”状態。一体どうなったらこうなるのか、、

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次に車体側のクリーニングと思っていましたが、ヘッドのリワークが必要なのでまずはヘッドを進めます。

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バルブシールは溶けて溶着してしまい抜き取るのに苦労しました。オーバーヒートの後遺症は思いのほか深刻です。

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インテークポートに付着していたスラッジ。ガムのようにべっとりしています。

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フロント側もそれ相応の感じになっています。

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シリンダーヘッドをベアボーンの状態にしました。熱でバルブガイドが動いていたり、摩耗が心配なので一度内燃機屋さんで計測して頂く事にしました。ガイド周辺にカーボンで黒くなったところは見られないので外側は大丈夫なのかもしれません。内径がガタガタに擦り減ってしまっている可能性は大きいのですが、その際はバルブガイドを新しく削り出して、打ち替えする必要があります。

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続きます。
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