2022.03.24 Thu
TC96 FXRS ホイールベアリング交換とプライマリーベント加工。
で、本日の作業はTC-FXR。トラブルの症状を伺ったところ間違いなくホイールベアリングの粉砕だと思うのでまずはフロントホイールを外します。

フロントを浮かせてホイールに荷重が掛からない状態だと特に違和感無く回ります。


内部のグリスが飛び散っている訳でも無く一見問題無いように見えますが、、

今まで見た中では最も酷い状態で油分は完全に無くなっています。オーナーさんにお伺いしたところ最低でも十年は交換していなかったという事でした。

車体右側のベアリングはケージが分解してしまっておりローラーが飛び出ていました。しかし、この状態でも走行出来たのはテーパーベアリング故。テーパーローラーは物理的に外に飛び出る事は不可能ですから大事には至らなかった訳です。
破断したケージがローラーに喰い込んだ際異音を発していたのだと思います。

SSTを使ってベアリングレースを抜き取ります。

全てご臨終でした。

ホイールのボス側をクリーニング。レースを圧入する前に必ずグリスアップを行います。

安心の"MADE IN USA"、ティムケンベアリング。シールドタイプのホイールベアリングになってからのH-D純正部品は、一個1万円以上出してもTAIWAN製だったりします。インチサイズなので国産ベアリングを流用する訳にもいきませんが、唯一”グライド”などの社外ホイールに交換する事で日本製ベアリングが使えるようになります。
そう考えるとエボ時代のティムケンベアリングの方がずっと信頼出来ますし寿命も長いと思います。

ベアリングレースは叩き込んでも良いのですが、当方の場合はネックベアリングインストーラーを流用してねじ込んで挿入しています。

新品レース圧入。

テーパーベアリングはたっぷりグリスアップしておきます。ティムケン・テーパーベアリングにはティムケン純正グリスを使っています。


テーパーですのでエンドプレイを計測。必要であればシム調整を行います。

ホイールベアリングが変わると厳密に言えばホイールボスのオフセットが変わります。すると当然ブレーキローターの位置も変わりますからブレーキキャリパーの”当たり”も変わります。よってキャリパーセンター位置を修正する為、シム調整を行いました。ホイールベアリングひとつ交換しても他が全て影響を受けますので色々やる事が増えます。

リア側のホイールベアリングに今のところ問題はありませんが、フロント同様メンテナンスを行われていないようですので多分リア側も駄目だと思います。ですのでリアもこれから作業します。
その前にプライマリーの内圧を抜く為のエアーベントホールを加工します。
というのもこの車両、一般道の走行では特に問題無いようですが、高速道路を走るとミッドステップ加工したシャフトスリーブのところからプライマリーオイルがスプレーしています。これはプライマリー内部の内圧が高い可能性が大きいです。
このプライマリー内部の内圧はレフトサイドシールからのクランクケース内圧によるところが大きく、個々のエンジンで千差万別です。ですからどんな車両でも必要という訳では無く、当店でもこの車両で2台目に過ぎません。


インナープライマリーの最も高い位置に穴を開けました。で、ガスタップを立ててワンタッチコネクターをセット。


この配管とエアーホースはレース車両のヘッドブリザーには必ず使っています。差し込むだけにも関わらず絶対に抜けないし漏れません。今回はワザと見える位置に装着して「やってあります感」を押し出してみました。笑
因みにM8になってからの車両ではやはり内圧トラブル回避の為、プライマリーブリザーが標準で施工されるようになっています。

1次ドライブからの異音もあるのですが、これは以前に当店で製作した青いTC96 FXRS-SPと全く同じ症状です。この件に関しても修理を行うつもりでいます。

続きます。
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