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MARUMASU Motorcycle Lounge

2006 - 2023 Specializes in Harley-Davidson / Japanese Classics Maintenance & Speed Pro Shop " The Spirit of Bonneville Salt Flats" Land Speed Racing. / 2010/2011 FIM World Speed Record : 2011/2014 AMA National Champion : 2017 Fastest EV Motorcycle in Colorado Mile Race.

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'79y GS550 トップエンドリカバリー。

今日も1日纏まった雨でした。

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今日は定休日でしたがXL1200のヒートサイクルを行う為店に向かいました。偶々今日休みだという旧友が久しぶりに店に遊びに来たので、喋りながらもGSを作業。

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丁度タイミング良くGSのセルスターターが届きました。この車両に付いていたセルは復活させるのはほぼ不可能な位ボロボロだったので、中古動作品を入手。

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内部も小綺麗でまんざら悪くない状態です。取り敢えずはそのまま取り付けしてみます。GS550の場合、750よりも更にマイナーな車両ですのでまず部品は出ません。ですので修理が出来ないとなればこうして中古品を探す事になる訳ですが、程度の良い部品も枯渇しておりますので毎回入手には苦労させられます。

ZやCBといった人気の旧車だとアフターパーツも充実しているので部品に困る事は少ないのですが、車体が有り得ない価格にまで高騰しているので手に入れるのは現実的に不可能だと思います。
実際のところ、GSもZも、なんら変わりのない2バルブDOHCなのでGSが弄れるのであれば当然Zも作業出来る訳ですが、やりたくても仕入れすら出来ないのでZやCBをレストアするチャンスがありません。

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そんな訳ですのでガスケット類も社外の部品に頼る事になります。海外にはスズキ純正部品が適正価格で豊富にあるのですが、ガスケット一枚で何週間も待ちたくないので仕方無しにノーブランド製を使っています。
まぁ古いハーレーと違って日本車は部品の材質と加工精度が良いので漏れたりする事も少ないのですが、、

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ピストンをセット。新品の.05オーバーサイズです。今度こそ大丈夫でありますように。

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小さいピストンに対応したピストンリングコンプレッサーを持っていない為ホースクランプを流用していますが、根本的にこの方法でのシリンダーのセットの仕方は間違っている、と確信しました。最初からシリンダースリーブの下部端面にテーパー加工が施してある車両の場合、SSTは何も使わずに、ピストンを指先で揺らしつつシリンダーに挿入すれば、楽に入る事が分かりました。まぁ何事も経験な訳ですが、自分のトロさに嫌気が刺しました、、

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GSはシリンダースリーブとシリンダーの隙間にOリングを装着する溝が掘ってあります。自分の場合は極少量の液状ガスケットを併用しています。

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GSにはシリンダースタッドホールがオイルラインを兼ねている箇所もあるのですが、この構造で漏れない訳なので日本車は流石です。

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上記の方法で、あまり苦労する事もなくシリンダーがセット出来ました。何度もやり直したくはない作業ですが、次回からはバッチリじゃないかと思います。

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ヘッドガスケットと併用する、オイルラインに装着するOリングです。黒いものがスズキ純正で、オレンジのものが社外品。純正はダブルリップのような形状になっています。これも純正部品は廃番でしたので、わざわざ海外から単品購入しました。この位の部品だと部品代よりも送料の方が高くなる為、なんだかなぁ、という感じです。

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シリンダーヘッドを搭載し、カムチェーンのタイミングマークを合わせてカムを仮組みするところまで終了。因みに3番EXバルブに曲がりは無く、バルブのシートカットをやり直しして圧縮漏れを回避致しました。

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ハーレーはショベルヘッドからエボリューションエンジンを経て、ツインカム、そしてミルウォーキーエイトへと進化して、エンジン自体の信頼性は格段に上がりました。オイル漏れすらほとんどしないようになったと思います。

十年程前はエンジンをフルチューンして伊勢湾岸をぶっ飛ばしていた強者も多かったのですが、今はストックでもそこそこ速いですし、何よりも、スピードに魅せられ”狂ったような”速度域を要求されるお客様もメッキリ減ったと思います。

まぁ一般公道では安全運転に越した事は無いのでそれが正解なのですが、内燃機関の整備が”生業”と考える当店では比較的新しい車両のエンジン仕事は少なくなり、一般修理と車検整備が主な仕事となっています。

しかし、自分自身が最も興味があるのは”内燃機そのもの”であり、車両のトータルパフォーマンスを上げたり、信頼度を上げるという作業です。
社外マフラー+コンピューターチューン、まぁその先へ進んだとしてもボルトインカム程度といった所謂「ライトチューン」が流行りの昨今ですが、それはそれで壊れないし使い勝手も良いのは当然知っておりますが、当店的にはずっと内燃機を触っていたい訳です。

ハーレーの内燃機をこのまま積極的にやりたいのであれば、ショベルヘッドよりも更に古いパンヘッドやナックルヘッドへ着手する、という方向性もありますが、実際のところ、これらの車両は”高嶺の華”で手が出ません。

内燃機関での作業に拘るのであれば、まずはともあれ内燃機をやらなければハナシにならない”国産旧車”に目が向いていくのは自然な流れだと思っていますし、自分は”乗り物”全般が好きなので、特にハーレーだけに拘っている訳ではありません。加えて日本車の場合、手を加えた分だけ確実に良くなり、問題があった場合でもまず100%改善されるところ、も魅力だと思います。古い車両をレストアしてエンジンや車体を綺麗にする事も良いですし、当時の新車のパフォーマンスに戻す事も可能です。

内燃機を組み上げていくという工程は、作業に集中するので時間を忘れて没頭出来ます。自分の場合はそれが”仕事”な訳ですが、仕事という事もすっかり忘れ、自分の気の済むまで取り組んでいるというのが実際のところだと思います。それほど自分にとって内燃機関への魅力というものは今も尽きません。


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