2021.10.31 Sun
'07y XL1200L / T-man SE124RX FXDBI。
オーナー様とは直接面識はありませんでしたが、Youtubeをやっておられるので拝見させて頂いていますし、先日も当店”ボンネビルSPLエキゾースト”を買って頂いていたり、あと”ブルズアイ”さんや”スターM/C”さんとも接点があったりするので初めてお会いした感じはしませんでした。笑
オーナー様立ち合いの作業でしたので内容は割愛致しますが、最初諦めて電車で帰って頂くしかないかなぁ、なんて考えておりましたが、なんとか応急処置出来て無事お見送りする事が出来ました。
ちょっと距離はありますが、此方方面に走る時はいつでも遊びに来て下さい。お待ちしております。

で、今日のメインがこのT-man 124RX FXDBI。
タペットからの異音が激しく、9月にタペット交換修理をさせて頂いたのですが、直ぐに再発してちょっと違った感じのメカノイズに変わりました。
カムのリフトも高いですし、エンジン仕様も当店レーサー並か、それ以上ですので致し方無い、と考えるところもあるのですが、まだ出来る事はあるのでやってみたいと思います。リカバリーの作業に加え、作業手順的にカムまでを外す為、カム室回りもチェックしておきたいと思います。

今回はオーナーさんが手伝ってくれたのでガソリンタンクを外して作業する事にしました。ポリスカウルを装着しているとガソリンタンクと共締めですので一人での脱着は困難を極めます。

タペットまでを外してここからが今回の作業スタートとなります。

まずは油圧テンショナー。エンジンオイル管理はしっかりして頂いておりますが、高負荷でささくれ立っています。

これはリア側のカムシムです。キツく擦れておりピカピカに光っています。ただし凹凸はありません。

流石にピニオンシャフトは痛んでいます。ピニオンシャフト先端のカムサポートプレートブッシングで支える部分が凸凹になっているのはよく見ますし(画像では2列に渡り黒くなっている箇所)、ボンネビルのレースでは2レースでピニオンシャフトが駄目になる事も多々あるので見慣れておりますが、この車両では3ステージオイルポンプのトロコロイドギアの当たり部分に”虫喰い”が入っています。
トロコロイドギアはピニオンシャフトに対してオイルを潤滑する為少しアソビを持たせた構造になっているのでガタがあります。よってピニオンシャフトに擦れる跡が付くのはまぁ普通なのですが、”虫喰い”はあまり見た事がないかもしれません(カムの場合は油膜が途切れた事により虫喰いが発生する事があります)。
厳密な事を言えば理想はピニオンシャフト交換、となりますが、あくまでオイルポンプのギアをシャフトの平な面で”引っ掛けて”回しているだけな訳ですから、シャフトが痩せるほど酷くはないので今は見送るしかないかと思います。


カム山やインナーボス部分は経年変化の跡はありますが、問題なし。

ここまで開けたので当然インナーカムベアリングは交換します。ニードルベアリングが弾けたら、まぁほぼ99%の確率でエンジンブローしますので。

で、今回リフターボアの摩耗により油圧が低下して異音が出ているのではないか、と予想している為、SSTを使ってボアを計測します。結果2箇所が2サイズO/S、残る2箇所が3サイズO/Sでした。やはり擦り減っていました。
ここの計測にあたり、米国"T-man Performance"さんに意見を伺ったのですが、新車時からボアは大きめで、下手をするとそのままO/Sリフターが入る程のクリアランスがある、と教えて頂きました。

続きます。

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