2021.09.09 Thu
JE/Edelbrock TC95 ディガーのエンジン修理。
ケースとフライホイールはS&S、シリンダーは純正をボアアウト。ヘッドは当方のボンネビルレーサーのFXLRと同じJE/EdelbrockのCNC-RPMヘッドを使いロッカー回りもバルカンE/G製のビュレットパーツを複数組み込んだ、レース仕様のエンジンです。

VDAのドラッグレースで使っていたのですが、今のところオイル漏れは一切ありません。しかしながら今回初めてヘッドガスケットが抜けてしまい、それ自体はレースで使うエンジンなのでまぁ仕方無い訳ですが、抜けてからも気がつかず走らせていた事が大問題。

まずはともあれコンプレッション計測。抜けたのはフロント側ですが、走ってしまったのでエーデルヘッドの分厚いフィンが曲がる程の熱がかかっており、ヘッドやシリンダーが溶けていないか心配でした。
計測してみたところ正常なリアが170psi、フロントは抜けてはいますが70psiだったのでピストンやリングにダメージが及んでいないのは分かりました。

プラグは真っ黒ですが乾いて煤けています。セッティングを追い込めばもう少しパワーも出ますが、レースでギリギリまで追い込むとエンジンブローし易いので濃い位で丁度だと思います。レースエンジンは壊れても仕方ない訳ですが、それでも最高出力の90-95%程度に落として安全マージンをとっておくというのが当方のレースエンジンに対する考え方です。

早速分解してみます。

見事に吹き抜けています。

ファイヤーリング仕様のシングルレイヤーガスケットなら兎も角、多層メタルのガスケットが一部千切れて無くなっているのは尋常ではありません。これはガスケットが抜けてから走ってしまった事で溶解したものだと思います。

ホーニングストーンで面出ししました。まだちょっとザラザラした部分が残っていますが、まぁなんとか圧縮がキープ出来るのではないかと。これでまた直ぐ抜けるようなら、ヘッド側を面研するしか方法はありません。


シリンダーはスリーブのおかげで無事でした。ピストンの状態、シリンダーヘッド燃焼室もドラッグレースで使っていると考えれば程度は頗る良い状態でしたので、今回は何も手はつけません。
ニカジルメッキのスリーブレスシリンダーだったら間違いなく溶けてアウトでした。

で、ヘッドガスケットのみ交換して組み立てます。当店で作業したエンジンのガスケット類は常時在庫しております。


ド派手な車体のカラーリングばかりに目が行きがちですが、見えないところの作り込みもハンパ無い。あとマフラーやオイルタンク、シートカウルやガソリンタンクの”チリ”合わせが尋常ではありません。ビルダーの性格が如実に現れている部分だと思います。いやまぁ凄まじい出来です。


エンジンのリカバリー完了。クラッチバスケットがベルトドライブのカバーに干渉しているみたいなのですが、多分T/Mメインシャフトが曲がっているのではないかと思います。2次がチェーンドライブのドラッグレーサーではこれも致し方ないところかと。まぁ修理すれば直りますので「走らせては直して」というのがレース車両の基本。

一晩落ち着かせて、明日火を入れます。

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