FC2ブログ

MARUMASU Motorcycle Lounge

2006 - 2023 Specializes in Harley-Davidson / Japanese Classics Maintenance & Speed Pro Shop " The Spirit of Bonneville Salt Flats" Land Speed Racing. / 2010/2011 FIM World Speed Record : 2011/2014 AMA National Champion : 2017 Fastest EV Motorcycle in Colorado Mile Race.

PREV | PAGE-SELECT | NEXT

≫ EDIT

'12y FXDB 96" to 103" 「ブルズアイ・フルパワーチューニング」施行完了。

昨夜TC103 FXDBが戻りました。

R9264710.jpg


今週月曜にブルズアイさんに預けたFXDB。”まずはナラシセッティングなので直ぐに出来ますよ”と言われていたのですが、言われた通りあっという間に仕上がって参りました。

当方はダイノマシンの操作は勿論の事、ダイノジェット”パワービジョン”を使ってのセッティングに関しても素人です。
詳細に説明して頂けるブルズアイさんのチューニングは非常に分かり易いですし、何より車両を店に持って来て頂いた際、少し走らせたエンジン音を聞いただけでも排気音が”潤って”おり、パワーが出ていてセッティングに間違いがない事が直ぐに分かります。
通常オーナー様にご説明させて頂く為のパワーチェックデータですが、今回は特別に細かくアップしたいと思います。

インジェクションのチューニングは各ショップさんでそれこそ千差万別ですが、「何処が駄目で、何処を改善したか、それにより車両はどうなったのか」を正確にオーナーさんに知らせる義務があります。

内燃機の作業でも同じですが、例えば「フルオーバーホール済みです」、と謳っていても作業内容は読めない事がほとんどです。見えない部分なだけに”グレーゾーン”になっている箇所が多く、実際お金を払っているオーナーさんでさえ実状を把握していないという事が多々あります。

専門用語をなるべく控え、オーナーさんの知見に沿った言葉でお伝えする事が最も重要だと思っています。
インジェクションチューンも同じで、「はい、こんなもんですよ」と言われて車両を渡されれば、「まぁこんなもんか」、と納得しがちですが、実際優れたチューニングと言うものは、全域においてストック時よりも良くなります。
今回のFXDBは酷い状態のプログラムが入っていたので、3000rpmまでのナラシセッティングとはいえ、劇的に変わっていると思います。

まぁ当方が百の能書きを並べるよりも、実際の数値を見て頂ければお分かりになるかと思います。インジェクションチューニングは数字こそ全て、ですが、ブルズさんは実際走らせた時のフィールこそ最重要、としっかりご理解されています。必ず実走行でのチェックを行って頂いておりますので手放しにお任せしても120%安心出来ます。

まぁ逆を言えば、ダイノマシン上でセッティングを行うだけで実走行していないショップさんのセッティングは、まず信用出来ないと個人的には考えます。


さて、そんな訳でデータの説明。

まずはスロットル開度15%。

基準値であるA/Fレシオ13.0に対してフロント、リア共に17.0近く(赤ライン)になっています。非常に薄い危険な状態です。セッティング後はほぼ適正値(青ライン)になっているのがお分かりになるかと思います。

R9264711.jpg

スロットル開度10%

回転数によっては18.0を超えています。A/Fも安定しておらず山あり谷ありな状態でした。リセッティング後は安定した真っ直ぐな青ラインになっています。

R9264712.jpg

スロットル開度7%

スロットル開け始めのところは既にワケの分からない値になっています。もう滅茶苦茶。

R9264713.jpg

アイドリング時

A/Fが18.0を振り切っている箇所があります。これによってアイドルアップ後にエンストを引き起こす原因になっていました。

R9264714.jpg

続いてアイドルRPM

油温が32℃の状態で既に800rpmまで落とされています。通常は油温96℃程度に上がった時点でアイドルを下げますので明かに回転数を落とすのが早過ぎます。それもあってアイドルアップが終わるのが早く、即エンストしていた訳です。

R9264715.jpg

VEテーブル

ガソリンの噴射量に関するテーブルです。特に弄っている訳ではなく既存のデータを入れてあるだけ、という事でした。

R9264716.jpg

A/Fレシオ

意図している事は分かるのですが、前記したVEがそもそも合っていないので意味が無い、という事でした。また3000rpm以上でも薄い箇所があり、これはオススメ出来ない、という事です。

R9264717.jpg

点火プリント

回転数とスロットル開度に対して値が前後していたりして、どこがどう、というよりも全てのデータが駄目です。

R9264718.jpg

これらのデータを全て見直し、正しくリセッティングされました。セッティング内容についてはブルズさん独自のノウハウが生かされておりますので非公開とさせて頂きます事をご了承下さい。

今回はJEピストンを使って96cu"から103cu"にボアアップを行わせて頂きましたが、正しくエンジンが組み上がっていたとしても、いざエンジンを始動してコンピューターのセッティングが滅茶苦茶であれば、ピストンが”棚落ち”して白煙を吹いたり、最悪エンジンブローに繋がったりします。どれだけセッティングが重要であるかを考えるべきだと思います。
ダイノマシンさえ有るショップなら何処でも同じ、という訳ではありません。必ず信頼出来て、評判の良いお店にお願いする事が結局は単車にも財布にも優しいかと思います。

明日にも一旦納車させて頂きますが、まずは800-900kmのナラシ走行を行って頂きます。その後もう一度ブルズアイさんに持ち込んで、本当の”フルパワーセッティング”を行うという流れになりますのでご足労お掛け致しますが宜しくお願い致します。

R9264709.jpg
関連記事

| ECM | 21:46 | comments(-) | trackbacks(-) | TOP↑

PREV | PAGE-SELECT | NEXT