2020.11.26 Thu
'89y FXRS セルスターター検証。
リアサスペンションが立っているモデルですので87-88yあたりのFXRだと思います。
車体はどこも綺麗に出来ていますが、リアのベルトドライブが一番細いベルトで製作してあるところが最も刺さりました。笑 やっぱり高年式ベルト仕様は間違いなく格好良いです、ハイ。
ご来店、誠に有難う御座いました!

さて、作業は'89y FXRS。届いたスターターに交換します。1.4kwの強化セルとなります。


今回の年式アップデートさせるコンバートでは、T/MケースとスターターピニオンASSYだけが89yとなりますが、T/Mメイン+カウンターASSYはTC88、クラッチバスケットやセルスターターは91y以降の後期FXR用、そしてインナープライマリーカバーが93y以降FXR用のデルクロン、というハイブリッドで製作しています。

各パーツを装着する事はできていますが、相性の良し悪しであったり、微細な抵抗や負荷はなかなか目で見えるものではありません。この車両は以前からスターター周りが弱く、始動性に若干の不安があったのですが、1988-1989yあたりのFXRでは比較的起こる症状です。
ですので今回全て後期にアップデートするという方向で作業を行なっているのですが、なかなか手強い感じになっています。
因みにこの車両に付いていた2分割式ピニオンのスターターギアは、後期FXRのスターターリングギアにマッチした丁数にも関わらず、回す事が出来ませんでした。同じ歯数でも微妙に寸法が違っていたのです。当然問題なく取り付け出来ましたが、動かなかった訳です。

スターターのボディでも違っていて、微妙にストレートラインが出ていないのかなぁ、なんて思い前期用と後期用セルの各部を計測したりするのですが、まぁ違ってもいない訳でして。

これが新規に圧入したデルクロンケース用のブッシング。何もコーティングがされていません。

純正は白っぽいテフロンコーティングのようなものが施してあり、滑りが格段に良いのです。こういった物理的な要因も加味されてくるので余計にアタマが痛くなります、、

クリアランスが気になったり。

クリアランスが気になったり。。

ピニオンASSYをイロイロ付け替え、ピニオンギアもBAKERのレトロフィットギアに変更。その都度スターターでセルを回して最も元気に回る組み合わせを探ります。1次チェーンを装着せず、クラッチバスケット単体ならギュンギュン回るセットまでは追い込みました。
指を巻き込まれたら一発で切断される位回らないとダメです。

一体何が違うのか、、、もともとこの車両のスターター電装回りに不具合が生じていたのでしょうか?
絶えず充電しておかないとバッテリーが上がり易いような気もします。何処かで電気がドロップしているか、リークしている可能性も無きにしも有らず。。うーん、難しい。

ハーレーはスターターが"命"です。セルが使えなければ"押しがけ"という手もありますが、下り坂などを利用しないと難しいと思います。
どんなにハイパワーなエンジンを搭載したとしても、スターターが回らない、またはセルボタン数回でバッテリーが弱って始動困難に陥る、というようではそもそもその単車に乗る事自体が嫌になります。
当方がFXRのツインカムコンバートであったり、後期モデル用にコンバートするのは、そのあたりの不安を少しでも無くし、絶対に自走で帰れる車両、レッカーを呼ばなくても良い車両造り、を念頭においています。
その為には適切な部品のアップデート、スターターギア比の見直し、コンプレッションリリースの追加などの改良を行う訳です。闇雲に強化セルや強力なバッテリーだけに頼るのではなく、古い車両は根本から見直す事が重要です。
このあたりに拘って車両造りを考えているショップさんは残念ながらそう多くはありません。
今日のところは解決策と言えるところまで到底辿り着きませんでした。。

オマケの画像は此方↓
日々"鉄屑"のような部品が宅配便で届いております。W3で使う”当時モノ”パーツという奴です。
錆びてオンボロな部品を繁々と眺めてると、こんなものにお金を払っていると思うと正直虚しくなります。笑
車両が仕上がった時には”良い塩梅”に見えるんじゃないか、という希望的観測だけで前に進んでいます。

明日は複数件の外注先を回ります。終日留守となりますのでご了承下さい。

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