2020.05.24 Sun
'07y FXDB クイック作業。
開店時間よりもちょっと前に入庫頂き、夜までに仕上げて納車するという段取りです。

まずは持ち込み頂いたスラッシン製のハンドルバーに交換します。ライザーボルトを外して驚いたのですが、なんとボルトのネジ山が3山も効いておりません、、これは危険極まりない。


ライザーは非貫通穴タイプの汎用です。ボルト穴の有効深さを計測して、極力長いボルトに交換します。

短いボルトが今回使われていたもの。左側の4本が今回交換したボルトです。ハンドル交換は安易なので自分で交換する方も多いかと思われますが。ハンドルバーは最重要保安部品です。いい加減な取り付けを行うと命を落とす事にもなりかねません。

ハンドルスイッチのボルトが純正と違うものに交換されていたのでステンレス製のキャップボルトに交換したかったのですが、ツインカム用はエボとはネジピッチが違う為無理でした。残念。

海外製のハンドルバーは配線逃し加工部分が浅いものが多く、よほど気をつけて取り付けを行わないとスイッチボックスのハーネスを噛み込み兼ねません。その点日本製のハンドルバーは逃しのプレス加工が深い為、配線を挟み込む心配がありません。当方が海外製のハンドルバーを毛嫌いするのは上記のような理由からです。

オーナー様たってのリクエストであったグリップヒーターも装着。当店では一度も装着した事は無かった為、地味に手間を喰いました。

続いてはスターターの作業です。バッテリーを外すのでその間にも充電しておきます。


セルスターターを外しました。TC96はボルト2本外すだけですので作業は至って簡単。

スターターは通常汚れに汚れている為分解前に洗剤で水洗い。4本のボルトを緩めて分解しますが、どこも塗装が乗っているので剥がしてから緩めます。なお画像のボルト部分はM9.0という特殊なサイズ。1/4"のボックスでないと穴が小さいので入りませんのでご注意を。


こちらが交換する強化ワンウェイクラッチ。バッテリーが十分充電されているにも関わらずスターターの飛び込みが悪く、エンジン始動時にモタつく、といった始動性に問題のある車両は、ショベル、エボ、TC88、TC96全ての車両において強化ワンウェイの交換は非常に有効ですので覚えておくと良いと思います。
この車両は103"か107"にボアアップしてあるそうですが、一撃で始動出来るようになりました。


セルを組み直しました。なお外した配線のコネクター部分には必ず接点復活剤をスプレーします。無駄なく電流を100%使い切る為の配慮。

最後はスタビライザーの撤去です。
このオーナー様はもともとTC88 FXDXに乗っておられ、このダイナに乗り換えられたそうですが、FXDXに比べて全然曲がらない、と伺いました。
当然ですがTC96ダイナが曲がらない、なんて事は絶対にありませんので何かが悪さをしているという事になります。
前回拝見したところ、フロントサス、エンジンフロントマウント、エンジンリアマウント全てに社外のスタビライザーがセットしてあり、フレームの適度な捻れが失われていると判断致しました。


ご存知のとおりオートバイというものは適度な捻れ、すなわち"しなやかさ"が生じて初めて気持ちの良いコーナリングが行えます。フレームを固め過ぎるとオートバイは曲がろうとしません。
こうした社外のスタビライザーは"百害あって一理なし"というのが当方の考え方で、スタビ有りと無しで走って検証した結果からも間違いないと思います。
当店の2台のボンネビルレーサーは260-280km/h程のスピードが出ますが、スタビライザーのようなものは一切セットしていません。ご存知当店最速のT-man 124RXを搭載したFXDBもスタビは付いておりませんが、240km/h近いスピードでも全く問題は起きません。
ラバーマウント車両の場合、エンジンマウントさえ正しく機能させればスタビは要らない、と断言したいと思います。
スタビ全てを外すにはエンジンマウントボルト毎一旦外して交換するのですが、機能させないようにするだけならスタビのピローを外せば済みます。よって工賃をセーブする為にもピロージョイントだけ外しました。

フロント側はスタビのボルトがアンダーガードに干渉してしまっておりました。一旦アンダーガードとクラッシュバーを外します。

フロント側はベースマウントのみを残し、前部のマウントプレートは外しました。

最後の最後にヒーターグリップの配線。

ヒーターはキチンと機能しました。
TC96 FXDBは何とか夜までに作業を完了し、納車させて頂く事が出来ました。この度のご依頼も誠に有難う御座いました。

今日は多くの方々にご来店頂きました。ご相談等誠に有難う御座いました。
これは別件なのですが、TC96 FXRのオーナー様が軽く転倒してしまい、急遽修理預かりする事になりました。
主な修理箇所はリアブレーキ回りと外装になりますが、明日以降細かくチェックを行いたいと思います。
極低速で砂に足を取られてのスリップダウンのようでして、オーナーさんに怪我が無かったのは不幸中の幸いです。

オマケの画像は此方↓
純正TC88/TC96 FLH用を加工したTC-FXRで使うオイルパンです。

見事な溶接なのですが、残念ながら溶接の歪みが大きく、このままでは使用出来ない事が分かりました。
さてさて、どうしたものでしょうか、、

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