2019.09.21 Sat
'00y FXR4 腰下組立作業。

各部をチェックします。まず目につくのはケース側レフトサイドベアリングレース面。バリの方向からレースを圧入する時に入った傷だと判断出来ます。この傷が原因でレースを入れ替えた時に違和感があれば、このケースは使えません。

レフトサイドベアリングリテーナーの切り口もオイルホールを塞いでしまっています。キャリアの長いメカニックが行う仕事ではないですねぇ。素人ですか?全く、、

インナーカムベアリングホールも少し荒れています。しかし多分大丈夫なレベルだと思います。

オイルポンプも締め過ぎ。ケース側に跡が残ってしまっております。

そんな訳でまずはケーススタッドから。強化スタッドに交換されていましたが全くネジ山が信用出来なかったので部品取りの中古エンジンからノーマルスタッドを外します。


こちらは駄目になっていたスタッド。摩耗で光っているのが分かるかと。

実際ケーススタッドホールが危うくて、スタッド穴が駄目ならケースは破棄だなぁなんて考え、まず最初に作業を行いました。通常スタッドボルトのツバが付いた方向をケース側に向ける”逆さ組み”が当方は好みなのですが、今回は理由があってツバ側をストックと同じヘッド側に使いました。理由は2つあるのですが、これはオーナー様にはまたご説明致します。
スタッドボルトのリアバンク、カム側の2本が少し緩かったのですが、奥まで入れてしっかりと止まりましたのでまぁ大丈夫そうです。当然”親の敵”程赤のロックタイトは使いました。笑

ケースが使えそうなのでレフトサイドベアリングを入れ替えます。



この位置が正解かと。

ベアリングレースを圧入します。この時いつもよりも緩かったり、斜めって入ってしまうようならケースが駄目です。

圧入時、それ相応の抵抗感がありましたのでそのまま続行します。

フライホイールASSYにレフトサイドベアリングを圧入します。今回フライホイールはS&S製を使っています。ストックボア+ストックストロークの純正リプレイス品。

圧入には購入してあったバルカンエンジニアリング製のSSTを使ってみました。これは相当に使い易く良く出来ています。流石です。


インナー側はOK。続いてアウター側。



レフトサイドのスプロケット・スペーサーとオイルシールを準備します。この辺りも全てS&S製を使用。

シールインストーラーはS&SのSSTの方が使い易いです。しかしながらシールインストーラーだけに使うには、なんて高価なSSTでしょうか、、涙。ただ、良い作業は、良い作業環境と良いSSTから、ですので一切妥協は出来ませんね。

レフトサイド完成。

カムサイドケースを組む前に修正しておかないといけない部分がありました。それはこの社外のピストンクーリングジェットです。
ピストンクーリングジェット自体は素晴らしい機能なのですが、このエボケース加工の場合、オイルを供給するオイル経路に問題があると感じました。というのもタペットにオイルを供給するオイルホールにバイパスしてオイルを引っ張っているのですが、これじゃ油圧が落ちるんじゃないか、と思った次第です。
各箇所で油圧が計測出来て問題が無ければそれはそれでOKですが、確認する術も無いので、ここはひとまずノーマルに戻すのが無難ではないかと判断。これはオーナー様にも了解済みです。

ケースに空けられた穴を溶接するとケースが歪む為、どうしたものかと考えました。で、プラグをアルミ丸棒から削り出し、クーリングジェットに栓をしてしまう事にしました。で、旋盤でキャップを製作。

叩き込んでこんな感じに。

それをカットして完成。これはケースの内部側になる為、その形状も相まって抜け落ちる事は100%ありません。

これがカム側ケースに施されたクーリングジェット用の穴です。

こんな感じにクーリングジェットを装着して完成。

悪くない感じ。

明日からも雨みたいですが、黙々とエンジンを組むには天気が良くない時の方が集中出来て良い気がします。
壊れたエンジンのリカバリーは普通に組むよりも何倍も気を遣いますが、問題点を見逃さないよう、また自分でもミスの無いよう、落ち着いて進めたいと思います。
続きます。
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