2019.07.01 Mon
'00y FXR4 エンジン分解。

ネジ山かボルトが痛んでいたにも関わらず無理矢理ねじ込んだと思われます。シリンダーヘッドはリア側のこの一本だけでしたが、ヘリサートで修正が必要。

そのリアロッカー内部ですが、アルミのスラッジが溜まっていました。




何故にこのようなプッシュロッド長になるのか、、摩訶不思議。

リアバンク側はヘッドガスケットが抜けていたのですが、ヘッドボルトの一本が指で簡単にクルクルと回る程緩んでいました。

バルブスプリングはシングル化されている、と伺っておりましたが、見た所SEストックのダブルスプリングのままです。


燃焼室のカーボンは多めでリアバンクはガスケット抜けでオイルを喰ってますが、程度はまぁまぁかと。ちょっと圧縮が高そうな燃焼室容量ですねぇ。

ナラシの1000km程を走行しただけですのでクロスハッチは残っています。前後方向にピストンがフラッタリングしてクロスハッチが無くなっていますが、これは前オーナー様のナラシ方法が悪かった為の人為的なダメージ。

フロントのカム側EXスタッドが浮いていました。当初抜けてきたものだと思っておりましたが、実は根元まで入らなかった為、そのまま放置して組んでありました。固着して全く動かず。


続いてボトムエンド。タペット、カム、S&S製のブリザーギアなどはアタリがキツかった感じはありますが、深刻なダメージは今のところ無い気がします。ピニオンシャフトも同様。
因みに油量を倍増させる加工がポンプに施してあるという触れ込みでしたが、特になんて事は無いストックでした。


これが追加工されたピストンクーリングジェット。ケース側、タペットブロックのオイルラインに穴を開け分岐加工を施しオイルを引っ張っているみたいです。オイル流路の油圧が低下しないのか??です。

フライホイールを回転させてみます。正回転ではスムーズに回りますが、逆回転させると引っ掛かって回らなくなる位置があります。やはりビックエンドに問題があるようです。

で、ケースを割りました。ケースボルトも全く規定トルクが掛かっておらずスパナで軽〜く回ります。驚きの連続です。
ケースを割ってからフライホイールを回してみたところ、前後どちらにもスムーズに回転するようになりました。という事はピニオンベアリング側にダメージがあったと考えられます。

で、そのピニオンベアリング。全てのベアリングローラーの双方に光る筋が入っています。

ローラー、ケージ共に傷があります。高負荷が掛かっていた証拠かと。まぁベアリングとレースの寸法を計測した訳ではないので何とも言えませんが。


ケースからフライホイールASSYを外しました。レフトサイドベアリングは特に問題無かったような気がします。

ケースをチェックする為ガソリンでクリーニングしました。前記したシリンダースタッドは何をどうやっても外れませんでしたので今日のところはこのまま放置。

ここからは当方個人的な意見になりますが、フライホイールを重くする事は"百害あって一利なし"だと思います。今回は前オーナー様の乗り方(エンジンを回してスピードを出す事が好きな方)とミスマッチだった事も原因のひとつで、たった1000km程度の走行で異音がで出したと思います。
エンジンのバランスをわざわざ崩し(たとえフライホイールをリバランスしたとしても)、それを「鼓動感の増大」であるとか「トルクの怪物」なんて謳い文句で"釣る"のは如何なものかと思います。仮に壊れないにしても、ビックエンドへの負荷は相当なものだと安易に想像出来ます。フライホイールを重くするのであれば、それを支えるクランクケース側も強化しなければ辻褄が合わないような気がします。
"三拍子"なんて言葉が大好きな日本人故鵜呑みにして騙される訳でして、やはりそのエンジンに応じたバランスこそが本来エンジンの持つ能力を100%発揮するものであると考えます。
このフライホイール自体に問題は無いと思いますが、上記の理由で当店ではヘビーウエイトフライホイールは使いません。勿論インストールのご依頼も一切お断りしております。


普通ケースのこんな所に擦れたような跡はまず付きませんよね?

ピストンクーリングジェットを外しました。

油圧の低下が考えられますので出来れば外したいと思っています。ピストンクーリングジェット自体は良いものなんですけどね。

そんな感じで今日はここまでです。
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