2018.09.11 Tue
KUSHITANI × "Bonneville SPL".
今回300km/hというスピードで転倒した事で様々な事が見えてきており、ボンネビルの最高速レースだけに特化させた、所謂"ボンネビル・スペシャル”レーシングスーツを更に発展させたい、というご相談です。
まず最初にお願いしたかったのはインナーウェア。今までも当方のリクエストを汲んで頂いたカスタムオーダーのインナーを着ていたのですが、ソルトフラッツの暑さは尋常ではなく、如何に体力を維持するかでレース運びが変わると言っても過言ではありません。
よって安全面を最優先させるレーシングスーツとは異なり、インナーウェアは汗をかいてもスーツの脱着が容易な事は勿論の事、スタート待ち時間の間でも常に快適でないといけません。
そこで生地自体を部分的に見直し、且つその範囲も既存のものとは変更して通気性を更に上げて頂きたいとリクエストさせて頂きました。
二番目にお願いしたのはグローブの改良。今回の転倒で最もダメージを受けたのは両手首。ボンネビルでは通常のサーキットを走るレースとは異なるポジションですし、手首での操作も最小限です。しかし、速度域は高く転倒のリスクは大きいので、操作し易さよりも安全性を重視したものへの改良をお願いしました。具体的には既存プロテクターの厚みを増量、加えて手首をガードするリストアーマーの追加などです。ベースとなるグローブは来季一新されるであろうニューラインナップのものを使って頂く事になる可能性が高いです。

そして三番目が最も重要なレーシングスーツ。
此方も来季のニューバージョン、もしくはワンオフでのプロトタイプがベースになるかもしれません。新しいプロテクターの導入、よりエアロに特化させた”コブ”への形状変更、今回の転倒で傷が生じた箇所には路面との摩擦を減らし体を滑り易くする材質のものに変更する事や、逆に車体をホールドしなければならない部分はグリップ力の高い素材を追加する、といった詳細な部分まで打ち合わせする事が出来ました。
これまでクシタニ様が実戦の中で培われたデータと経験値がモノを言う訳でして、当方は常に安心して命を委ねる事が出来ますし、そのような装備でレースに挑める自分は本当に幸せであると思います。

この記事中の写真は個人的にサポートして頂いている私物のレーシングスーツなのですが、動き易さと快適性を最重要視したフルパンチング仕様の、いわばライトウエイトバージョン。各部のパッドについても入っていない箇所もあったりします。
正直自分自身の車両で転倒するなんて事は一切考えた事がなかったのでこの仕様なのですが、実際あのスピードでの転倒を経験すると、過剰なくらいの安全性を持たせておいても妥当ではないかと思います。
勿論転けなきゃ良い訳ですが、実際塩の路面はスリッピーで、転倒のリスクは残念ながら高い、、
レースに危険は付きものですが、もしもの事が起こったとしても、なるべくダメージを小さくする事が常に求められます。装備でリスクが少しでも減るのであれば、それは率先して導入していきたいと個人的には考えます。
クシタニ様、今後とも宜しくお願い致します。
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