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MARUMASU Motorcycle Lounge / KAZ MIZUTANI 

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転倒における自己考察。

今回の転倒について、自分なりに考えてみました。

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現地時間5時18分、28日、火曜日の朝です。
今回何故転倒に至ったのか、その理由について自分なりに今考えている事を忘備録として記しておきたいと思います。

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今回今年のレースに向け約9ヶ月というハイピッチでゼロから開発を行ったモビテック様の"EV-02"。
5月にシャシーダイナモでの検証を行い、6月14-15日の両日で城里テストコースにてシェイクダウンを行いました。

城里は直線テストコースの距離が1.6kmと短い事、また2日目に行った全長5.5kmのオーバルコースでは当日土砂降りの雨だった事もあり、国内テストでの最高速は200km/h超あたりまででした。
しかし、基本設計も踏まえ、強度的な解析についてもモビテック様の最も得意とするところであり、風洞実験施設での解析結果を考慮しても、それより上の速度領域でも、まず問題は無いだろうという判断で今回のボンネビルに臨みました。

今回コースコンディションは聞いてた通り相当に良い状態でした。
国内テストではバッテリーパワーに制限を行っておりましたが、本番のレースでは100%解放してのフルパワーで走行です。

1本目はコースと車体の感触を確かめるべく丁寧にスタートしたのですが、スタート直後にメイン電源が落ちてそのままコース上で立ち往生。国内テストでも2度経験していましたが、特にエラーが出ている訳でも無く再起動出来ていた為、今回も同じように直ぐに復活。データ上も問題は無し。

続く2本目、問題なくスタートはできてスロットルを一定量開けホールドする感じで加速。計測区間手前でGPSメーターは270km/h程を示していましたが、そのあたりからゆっくりフロントから横揺れが発生。
揺れは柔らかで、サスペンションのプリロードが弱い時に起こる現象だと判断。車体コントロールが可能な範疇でしたので一旦車速を220km/hまで落とし、計測区間出口に向け加速。また250km/h程で揺れが始まったので、フロントブレーキを使って速度を落としてコースクリア。平均速度は150mphだった為、EV-02にとってはさほど速い速度ではありません。

ピットに戻り状況を伝え、フロントサスペンションのセッティングを変更。簡単に言えば固める方向に調整しました。
今回EV-02は前後サスペンション付きの車両なのですが、リアは大きく変更はしません。

サスのセッテイング変更しての3本目、またもや激しく横揺れを喰らいますが、リアブレーキを使うと揺れが減少する事を走行中に発見。(現在、MOTO-GPなどではそのバンク角の深さ故リアブレーキはフットブレーキではなく左側のハンドルバーに親指でコントロールする"サムバー"が装着されています。)
揺れが少なくなるとリアブレーキを解放し、また揺れが始まるとリアブレーキを使う、といった操作を続け、コースクリア。速度はまたしても150mphあたりです。

一般的に横揺れがフロントから始まる時はフロントサスペンションのセッティングが甘かったり、フレームネック回りの強度不足などが考えられるかと思います。
しかし今回は、フロントサスペンションを固めた事でリアショックとのバランス関係が狂い、揺れが発生していると思われます。

翌日サスペンションを担当している方に連絡を行いセッティングを変更。フロントサスのプリロードを一旦初期段階に戻したうえ、逆にリアショックのプリロードは2回転上げる方法でセット。
この状態で走らせましたが揺れは弱くなったかもしれませんがあまり劇的な効果は認められません。
そこで世界GPでワークスチームにおられた経験を持つS氏にお伺いしたサスペンションへの改良を施工。
これは当方は初めて知りました。

その仕様で走らせた1本目、確かに効果は出ています。揺れが発生するのは同じですが、始まる速度が上がっています。
そこで更に施工追加、昼食を挟んで午後コースに出た際は天候は晴れ、実際スタートについた頃には無風で最高速アタックにはベストな状況です。

横風の影響を受けていないので車体は真っ直ぐスムーズに加速、今回では一番車速がのったまま計測ラインへ侵入。
時より横揺れは発生してましたが、やはりリアブレーキを併用したまま更に加速。
上手い具合に計測区間中程まで走行し出口のフラッグが見えたあたりでフロントから強烈な横揺れが発生。体を車両から起こしたり、逆に伏せたりを行いましたが揺れは大きくなるばかりで、回避行動は無理だと判断。
フロントブレーキをフルロックさせてフロントからスリップダウンさせ、自分は車体から離脱。何回転したか分からないほど路面を転がり続けましたが、転がっている最中にも受け身をしなきゃ、と考える余裕もあり体を丸めて転がりました。ピットから見ていた方に聞いたところ、転倒した瞬間は体が吹っ飛ばされているように見えた、と伺っています。

いい加減転がってからようやく地面に仰向けになり停止。ヘルメットのシールドは割れて無くなっていたので日差しが眩しいのと、呼吸が荒れている程度で全身に痛みはあまりありません。
直ぐ様待機していた救急車が駆けつけてくれイロイロ質問されますが、それも問題なし。ヘルメットを外してもらい自力で立ち上がる事が出来ました。

救急車に乗り込む直前、車両はどこに行ったのか見渡したところ、100mほど後方、コース上にひっくり返ったまま停止しておりました。遠目に見ていたので状況ははっきり確認できてませんでしたが、上手くスリップダウンしてそのまま横滑りだけなら良いなぁと思っておりましたが、あとでピットで確認したところ、ステップやスライダーが見事に折れてくれたお陰で車体は路面に引っ掛からず、綺麗に滑ったようで右サイドのみのダメージでした。

特に今直ぐ病院に行く必要は無いと判断したので別の救急車に乗り換えピットまで搬送。救急車から降り立った際は他のピットから拍手喝采の嵐。皆んなに心配をさせたし、レースも30分程中断したとの事でしたので本当に申し訳なく思いました。何よりインスペクターのDrewさんが真っ先に駆け付けてくれ本当に感激しました。その後も次々とライダーやボランティア・スタッフがピットを訪れてくれて、改めてこのレース"BMST"の素晴らしさを再確認しました。

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一晩考えて転倒の原因を考えてみたのですが、サスセッティングが追いつかなかった事が大きな要因であると自分的には考えます。
というのもリアブレーキを引きずっていると挙動が安定する、という事は、フロント側に荷重、というか負荷が少なくなる方向だとフロントからの揺れが少なくなっていたのではないかと考えます。(間違っている可能性もあります)

ですのでこれはあくまで憶測でしかありませんが、フロントのプリロードを強くして、リアサスペンションもそれに合わせて上げるべきであったと考えます。
自分自身のレース車両ではいつもそれで横揺れを回避してましたし、何より車両重量が当方のレーサーは軽い為、サスのセッティングが甘かったとしても、体で抑える事が出来るので今まで上手く走れていたのだと思います。

自身の体に横風の影響を受けないように出来るのであれば、車体そのものは比較的安定しているように感じます。
リアブレーキ併用に誤魔化され、セッティングが追いつかなかった事が今回の転倒を招いたと思います。
ここはモビテック様が反対したとしても、フロントサスペンションのプリロードをかなり絞り込み、リアサスも絞り込むか、もしくは持参していたペンスキーに交換してみるべきだったと思います。
この判断は当然レーサーである当方しか出来ないので、ミスは自分にあると思います。

ともあれボンネビルでは路面と天候に大きく左右されます。アタックする瞬間に条件が揃っていれば、当然レーサーはその1チャンスに賭けスロットルを開けます。しかし、決して無理した訳ではなかったにせよ、転倒してしまえばそれで全てが終わります。

レースにクラッシュは付き物ですから致し方無いとはいえ、それでもモビテック様や開発に関わって頂いた皆様には不甲斐ない結果に終わり本当に申し訳ない気分で一杯です。モビテックの役員様も現地に入られていたのですが、走行後皆んなで記念写真を撮りましょうと言っていたにも関わらず車体をクラッシュさせてしまい、すみませんでした。

当方は今までの人生に於いてオートバイによる転倒の経験は3度程しかありませんが、300km/h近い速度で転けた事は当然ありません。
体がなんともなかった事はもう本当に奇跡としか言いようがありませんが、親友の医師には"普通に言えば、医学的には死んでるよ"と言われました。笑

沢山のレース関係者が当方のFBにコメントを頂いておりますが、特に感動した一言を添えこの記事を締めたいと思います。

"Your dreams are our dreams and we hurt when you hurt.
Thank you for considering everyone else."


by Rocky Wingwalker. (Thanks Rocky !!!!)


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P.S.
毎年フルサポートしてくださっているクシタニ様、装備のお陰で当方は無傷です。本当に感謝致します。
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