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MARUMASU Motorcycle Lounge

2006 - 2023 Specializes in Harley-Davidson / Japanese Classics Maintenance & Speed Pro Shop " The Spirit of Bonneville Salt Flats" Land Speed Racing. / 2010/2011 FIM World Speed Record : 2011/2014 AMA National Champion : 2017 Fastest EV Motorcycle in Colorado Mile Race.

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EV-02 シェイクダウン手記~第二日目”高速周回路”テスト。

城里テスト2日目。
一周5.5Kmの高速周回路でのテスト記録です。


R9250755 のコピー


前日のテストで精神的にも肉体的にも極度の緊張感と疲労で部屋に戻って倒れるように眠りました。
その過度の疲労が逆に良かったようで、テスト時はいつもイロイロ考えてしまって眠れない事も多いのですが、しっかりと眠る事が出来ました。腕や肩に筋肉痛は残っていましたが、これはいつもの通りです。

同じく朝7:45コースイン。
外はシトシトと雨が降っており、気温は低くて半袖では寒い位です。路面は完全ウエットでした。

早朝からコースに併設された作業場所にモビテックのスタッフさん達によって車体や機材は移動されており、昨夜~今朝の作業でカウル内部には防水対策としてラップがグルグルと巻かれた状態になっています。熱を発しない電気バイクならではの対処方法だと言えます。

天気予報は終日雨を伝えており、もう腹も座っていたので逆に土砂降りの方が気合いが入ります。
少し雨雲が薄くなったのを見計らってコースイン。モビテックさんのベルファイヤーがEV-02を追従。
自分の中では、まずは160Km/h程で軽く流して徐々に、20Km/hづつ位のペースで車速を伸ばしていく方法をとろうと決めてスタート。

城里の高速周回路は一周5500m、最大45.2度のバンクを持つオーバルコースですが、あくまで市販車をテストするコースですのでサーキットのようなミューの高い、特殊な舗装ではありません。そのうえ今回EV-02に装着している前後タイヤは市販のストリート用のオンロードタイヤなのでレーシングレインのような高い排水性とグリップ力はありません。

バンクの進入速度も全く分からないので逐一スピードメーターを見ながら安全だと思われる130-140Km/h程で進入してました。この速度だと丁度バンクの真ん中あたりの車線でコーナーに進入するかたちとなります。

コースイン時にパワーを掛けるとツルっとリアが滑りましたが、直ぐに体感出来、特に不安定な挙動を示す訳でもなく極自然に収まりました。
以前のEV-01では滑り出しの感覚も、滑った事すら分からない程リアからの情報が一切入ってこない車体でしたが、EV-02は全く違っており、挙動が分かり易く対処も比較的簡単だと思えます。

徐々に速度を上げ、裏のストレートでは200Km/h近くまで加速。雨粒がシールドに当たり、全く前方が見えなくなるのでカウルからアタマを出して風圧でソールドの雨粒が飛び去るように走らせていました。3周回って一度ピットへ。

車体の状態は良く、常にコントローラブル。見ていたS氏に気持ちが良さそうだったよ、と言われましたが、実際その通りでとても気持ちが良かった。バンクの出口付近からインに身体を入れ、車体をリーンさせたまま加速させていくのは爽快でした。

一度車体をチェックし、その間にモビテックの見学者様ご一行が到着。EVプロジェクトは当然社内プロジェクトですので従業員の方も見学にいらっしゃいます。また、本日はお馴染カメラマンの岩崎さんも駆け付けてくれてました。

一向に雨脚は弱くならないし、待ってても仕方無いので2本目スタート。
高速周回路でのモビテックさんが必要とするデータ取りはほぼ終わっていましたが、折角見学に来て頂いた社員の皆様に実際走行しているところをご覧頂く事も大事ですし、個人的にももう1本走りたかった。

1本目の時よりも雨は多く降っており、レーシングスーツの中に来ているインナーウェアが走り出して直ぐに水が染み込む程の雨脚の強さ。
しかし、ツナギは濡れても寒くはならないので気にせず加速。裏のストレートで200Km/hを超えましたが、流石にハイドロプレーンを起こして車体がフワフワと浮いた感じがします。しかし、後で思い返せばこの浮かんでスピンしている感覚はボンネビルのコース上ととても似ています。この状況で挙動が安定しているのは非常に高いアドバンテージであると思います。

しかし、転んでも仕方ないので車速は落とし、やはり130Km/h程まで減速後コーナー進入。コーナーを抜けた先の直線路左側にピットがあるのですが、少しでも皆が近くで見れるようにと一番左のレーンへバンクさせたところ、コーナー出口の加速時140Km/h程でセンターラインに乗ってしまい、リアがかなりスライドしたのでちょっとドキリとしましたが、そのままスロットルを操作してグリップを回復させ、ピット前をスロットル開度にして7-8割程、あの路面ではこの辺りが限界かなという速度で通過。
その後も直線路で端線に乗りスリップして冷や汗が出ましたが、どの状況でもコントロール性は高く、”普通の”単車にかなり近づいたなぁと実感した次第です。

3周で終わるつもりでしたが4周目もサービスランで走り、ピット前を通過してからは体を起こしてゆっくりと流し、裏のストレートでは雨の路面でのスラロームを行い、ゆっくりとピットへ戻りました。

正直書きますが、以前のEV-01は乗る事が非常に難しく、バンクで揺れたり、コーナーの底に車体が落ちていったりという、まぁ想像を絶する”乗りモノ”でした。ですから乗るにはそれ相応の覚悟が必要でしたし、少なくとも今日のような土砂降りの雨なら危なくて乗れたものではなかったと思います。

間違って解釈して欲しくは無いのですが、これで今年のボンネビルは貰った様なもの、という事は一切ありません。
それほどボンネビルで勝つ事は難しく、ましてやモビテック様の目標とする”200MPH(320Km/h)”は誰彼手の届くものでは無いし、だからこそ栄光の”200マイルオーバークラブ”が存在します。
100%負けることが分かっていて勝負を挑むのは無謀ですが、たとえ数パーセントでも可能性が残っているのなら、そこにはいつも挑戦する意味があります。

EV-02が勝てるのかどうかは当方にも今は分かり兼ねます。
しかし、乗っていて楽しい、と思える車両は必ずいつか結果に結び付くと思いますし、それを実践する車両造りをしてきたからこそ、当方には今まで4つのタイトルがあるのだと自負しています。

この度のテストはまだ小さな一歩ですが、可能性を秘めた一歩です。これを上手く活かせるかどうかが今年のレースの結果に繋がると思います。

スタッフは勿論の事、関係各社の皆様、岩崎さん、ご苦労様でした!
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