2017.12.16 Sat
'07y SE/XL1200R カム回りのリカバリー。
勿論リカバリーが無いに越した事はない訳ですが、起こってしまった事実に真摯に向かい合う事こそ一番大事な事だと思います。妥協せず、オーナーさんは勿論の事自分自身でも満足出来るシゴトを追求していければと思います。
遠回りする事も多々有りますが、これからもこのスタンスは変えません。
ナラシが終わって間も無く、事故で修理入庫していた1200R。
本日はこの車両のリカバリーです。
トップエンドまでストレス無く回り、●00km/hオーバーでも特に違和感は無いのですが、組んだ直後からメカノイズが出ていました。
イロイロ原因を追求しましたが、オイルタンク内部にもオイルにも鉄やアルミのスラッジは全く無く、ちょっと壁にぶち当たっていたのですが、とある海外の4カムレース専門店のHPを読んでいるとヒントになる記述を見つけました。
これは実際にエンジンを開けてチェックしないと、と思ってようやく本日着手。

カムを外すのでとりあえずロッカーアッセンブリを外します。ロッカーアームとロッカーカバーが干渉した感じはありません。


カムカバーボルトはそれぞれの箇所で長さが違うのでいつもこんなSST?を使ってます。

カムカバーご開帳。

まずは徹底的に観察。LEDペンライトはエンジン仕事には必需品です。

2番のカム。ケース側のピニオンレースがケース内壁から少し飛び出ている事がお分かりになるかと。

カムインナーブッシングの圧入位置に合わせ、2番と3番カムの位置のケースが削り取られていますが、これは元から逃がし加工が施されています。

3番カム。ケースから飛び出ているレースにギリギリ干渉していませんがかなり際どい感じです。丁度レースの位置にカム山に線傷が入っています。そう、エンジンが回りカムに強いテンションがかかるとレースとカムが干渉するみたいなんです。
ギリギリのクリアランスとはいえ、カムを回転させて干渉チェックは当然行なっていますが、このクリアランスでテンションがかかると当たるとは思ってもいませんでした。

で、こちらが2番カムを下から覗いたところ。やはりこちらにも線傷。

カムもレースもかなりの硬度がありますし、干渉の際の角度が”面”ではなく”点”で当たるため削れてしまうような事にはなっておりませんが、2番と3番のカム山がピニオンレースを通過する度当たって音が出ていたと思われます。
カムからも異音は出ますが、干渉しているレース側、エンジンケースにも干渉音は伝達されてしまうのでメカノイズは更に増幅されていたと予想出来ます。

カムカバー側には特に問題は無いようです。

通常、ケースからピニオンレースが飛び出ている、なんて事はまずありません。これはラバーマウントスポーツになってからの構造でリジットマウントスポーツでは平らです。
ストックカムなら問題無いのですが、たとえボルトインカムだとしても必ずこのレース部分にカムが干渉するらしいです。そんな記載はSEの取扱説明書にも一切記述はありません。
当方が読んだ海外サイトの記述には”ほとんど知られていないので敢えて公表する”とありました。

当たり前ですが、ケースのピニオンレースを削る、なんて馬鹿な事は出来る筈もありません。
ラバーマウントスポーツはチューニングベースという考え方は一切無いんだと思います。ひたすらコストダウンと見た目の”格好だけ”に重きをおかれている気がして残念としか言いようがありません。これではアフターパーツメーカーがチューニングパーツを開発する訳もありませんね。
ではどうするのか。そこはまた来週の作業で説明したいと思います。

これでメカノイズが減ると良いのですがねー

明日は豊田スタジアムでクリスマス・バッシュ"81 TOY RUN"参加の為終日留守になります。
10時〜17時、お時間が御座いましたら是非豊田スタジアムにお越し頂ければ幸いです。入場無料、当店ブースにお立ち寄りの際はオリジナルステッカー差し上げます!
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