2017.12.15 Fri
'10y XL883N改1250cc トップエンド分解。

スロットルを外したらインテークにオイルがベッタリ付着していたのでこれはオイルが上がっていると直ぐに気が付きました。ヘッドを下ろして一目瞭然、ピストントップまでベタベタです。なのにシリンダーには一切傷が無い事を考えるとピストン、シリンダーのクリアランスが過多であった事が原因ではないかと予想できます。
因みにこの状態でもインジェクション車両だと全くオイルスモークが排気に出ません。
此方がリア。

で、こっちがフロント。前後で同じようにオイルが上がっています。

ちょっと見難いですがシリンダーのクロスハッチは新品同様。一切ダメージはありません。ニカジルメッキシリンダーの場合スリーブレスですからメッキが剥がれるようなダメージを喰らうと激しいオイルスモークに見舞われると思います。


スカートサイドに線傷。この原因はちょっと不明。後から国内でピストンコーティングを施しているのですが、コーティング表面に傷がついた位で母材へのダメージは無し。ピストンリングにも問題はありません。

クリアランス過多で最も顕著に分かるのがこのピストン端面。首を振って干渉し異音を発生していた原因だと思われます。性能が良いのでピストン全面コーティングを施していますが、こういったトラブルシュートの際もはっきりと形跡が残るので原因究明には助かります。

よく見て頂ければお分かりのとおり、首を振り易い前後方向ではなく、フロント、リアバンク共にピストン横の端面に傷が入っていますよね?これがクリアランス過多の場合には多い症状ではないかと思います。
ピストンが圧縮下死点に下がり、そこからピストンが上がる瞬間が最も首を振り易い位置なのかもしれません。丁度シリンダーのその位置で最も異音が発生していましたからあながち間違って無いと思っています。

スリーマイルズN様、このキットの品番は下記の通りです。宜しくお願い致します。



ピストンクリーニング後。干渉箇所がはっきり分かります。距離を走っておりませんでしたので早めに開けてみて正解でした。余計なアルミスラッジをエンジンに回す事は回避出来ました。唯一の救いです。。


今回のこの症状、ピストン-シリンダークリアランスが大きかったにも関わらず、メーカーからのニカジルメッキシリンダーのクリアランス回答が待てずに組んだ当方の責任です。ピストンコーティング処理により1/100大きくしていけるんじゃないかと踏んだ結果がこの有様ですので弁解の余地は無し。全責任は当方にあります。誠に申し訳御座いません。

これは余談ですが、レボリューションのXL用シリンダーキットに不都合が出ているものが存在する可能性がある、という事を本日伺いました(現時点では未確認)。まぁそれはどうであれ、今回当店が入手したキットは明かに加工寸法に問題があると思いますので一度メーカーに送り返ししっかり検証して頂きたいと思います。
あと懸念されていたフライホイール、特にビックエンドとスモールエンドに関しましては、今日もう一度チェックし直しましたがやはり問題はありませんでした。
もう少しお時間を頂く事となってしまいすみません。

XL883Nに続いては1200Rのカム回りリカバリー。XLでのリカバリーが続きます。
地味に中古パーツは集めておりますので気長にお待ちを。

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