MARUMASU Motorcycle Lounge / KAZ MIZUTANI 

Specializes in Harley-Davidson V-TWIN Maintenance & Speed Pro Shop " The Spirit of Bonneville Salt Flats"

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「行雲流水」

偶には取り止め用の無い話題でも。

R0047264のコピー


早いもので”マルマス”も今年で12年目に入ろうとしています。これも偏に当店をご贔屓にして頂いているお客樣のお陰、心より感謝申し上げます。

開業当初より一貫して一般整備と修理に重きを置き、それに付随したエンジンや足回りなどのパフォーマンスアップを生業として参りました。H-Dの場合、外装が得意なショップさんはゴマンとありますし、自分がこの仕事をさせて頂いて最も惹かれる部分は内燃機関、エンジンそのものですから自ずとその方向に特化していく事となっているのだと思います。

最低でも月に2〜3台はエンジンの仕事があるので、この11年でざっと数えても200機以上のエンジンを組んできた事となります。
開業当時から細かく記載し保管している各オーナー様毎の記録簿を追えば正確な台数は分かりますが、それを数える程暇ではありませんし、あくまで”仕事”の一貫ですから誇るような事ではありません。

スピードを追い求めてボンネビルを走るようになったのは2010年からですが、それに前後して、トップエンドまで回しても壊れ難くなったツインカムエンジンをベースとしたチューンの魅力に取り憑かれました。

お客様もパワーとパフォーマンスに特化した方も増え、一緒に湾岸を走り、如何に安全に速く走れるか、という事をオーナーさんと共に考え、個々のユーザーの求める”一人一人に応じたエンジン”というものを追ってきたつもりです。

同じ車種、同じ排気量だとしても、個々のオーナーさんの要求は異なります。
体重であったり、好みの走り方もそれぞれ違いますから、それに応じたオーダーメイドのエンジンを考えて組む訳です。

数多くのチューンドカーやチューニングバイクを乗ってきた方ならいざ知らず、リクエストされたパーツチョイスやエンジン構成が、本人が希望するものとかけ離れている、という事も多々あります。

最も多いのがボアアップやストローカーなどの排気量アップ時で、排気量が小さかろうが大きかろうが、ピストンやフライホイールなどのパーツ価格はほぼ変わりません。当然工賃も然り。ですので1600ccよりは1800ccの方が良いし、1800ccより2000ccのほうが、、という事になります。

排気量が大きいほど熱量は増しますし、メカノイズの増大、オイル管理がシビアになり、バッテリーやスターター、クラッチといったエンジン以外の補器類をパワーに見合ったもので安定させる事も非常に重要になってきます。

”お客さんのリクエスト通りなんでもやります”、なんて謳い文句のショップさんなら、例えばツルシの車両にポン乗せで2200ccのコンプリートエンジンを搭載してくれ、と言われれば二つ返事でコンバートするでしょう。
しかし、後々エンジンがかけ辛い、夏場ヒートする、といった問題が発生する確率が高いですよね?

じゃセルを強化セルにしましょう、バッテリーはリチウムのハイパワーな奴で。ヒート対策はデカイオイルクーラー付けましょう。クラッチも強化して。お金は入りますケド。
これではお金がいくらあっても足りませんし、依頼するオーナーもオーナーですが、受けるショップもショップだと思うんです。

これは極端な例ですから今時そんなお店は無いと思いますが、例えば上記の問題を全てクリアしてたとしましょう、しかし、その車両でお盆は仲間と一泊ツーリング、渋滞も巻き込まれるのは仕方ないよねーなんて方なら遅かれ早かれトラブルが起きる可能性が高いですし、何より乗っていても楽しくないと思います。
何故ならそれは、その仕様のエンジンの使い方が根本的に間違っているからです。

そんな事はオマエに関係ねーよ、なんて方はこの記事を読む必要も御座いませんが、そのお客さんの使い方に応じたエンジンを組ませて頂く事は、そのオーナーさんにとって、最も楽しくて、気持ちの良いエンジンを組む、という事と同義語だと思っています。

チューニング度合いが比較的高い仕事の場合、当店お客様の知り合いであったり、ご紹介でない限り、直ぐに仕事をお受けする事は御座いません。その方とじっくり話合い、できれば一度一緒に走ってみて、そのオーナーさんの好きな走り方を知った上でないと、ぴったり希望のエンジンに造る事が難しくなってしまいます。

エンジンのパフォーマンスを上げれば当然それに付随する部分のバランスが必ず崩れます。ですから足回りやブレーキの強化といった部分が多かれ少なかれ必要になる訳ですが、そのあたりも踏まえ、カスタムに計画性を持って当たられる方が多いのも当店ユーザー様に比較的多い傾向だと思います。

しかし。

じゃストックの車両は面白く無いのか、と言えば決してそうではありません。

車検や一般整備も多いので完全ノーマルの車両に乗る事も多いのですが、ぶっ飛ばして楽しい単車はハーレー以外それこそ星の数ほどありますが、のんびり走って気持ち良いのは、やっぱりハーレーが一番じゃないかと思います。

足回りも大らかで、まるで船に乗っているような大味な感じですが、あれはあれで悪くはないと思います。
なによりノーマルエンジンはエンジンからのメカノイズが最小ですから、乗っていても耳障りな事がなく、変な疲れ方をせず気楽に乗れます。

ストックエンジンであれば、足回りもブレーキも、まぁ通常使用には問題が無いですし、純正ペイントのストック外装は飽きがこないし、歳をとったせいもあってか(笑)、ノーマルのバランスが格好良いと思うようになり、とうの昔からH-Dは既に完成されたデザインだったんだという事に今更ながら気付かされます。

上記の理由もあり、特にショベルヘッドに関してはストックに拘ります。

見た目の格好良さもあるのですが、ショベルヘッドのエンジンはノーマルのフィールが最もバランスが良いと思います。
ですのでエンジンもストック排気量、ストックコンプレッション、所謂レストレーションでしか仕事のご依頼をお受けしておりません。

ケースを掘ったり社外ケースを使ったりしてストローカーでも何でも組めますが、純正の車体外観、貧弱なナローフォークだったり、お世辞にも効くとは言えない片押しブレーキだったり、ストックに拘るとパフォーマンスの高いエンジンにフレームが負けてしまう事になります。
見てくれだけならそれでも構わないかと思いますが、チューンされたエンジンのパフォーマンスを一杯まで使い切ろうとすると、非常にリスキーです。
オーナーさんに怪我されたりするのがショップには一番辛いですから、やはりそのリスクは背負ってほしく無い、という事もあり、ショベルヘッドは敢えてストックでしか組みません。

まぁ車体全部をやり直していっそチョッパーに、というのならそれはアリだと思うんですが、当店では外装のチョップを基本行わないですし、そもそも板金や溶接の設備を設けておりませんのでお受けする事が出来ません。

しかし、ひとつだけ小さな拘りがあり、当店で組んだショベルヘッドのエンジン本体は、オイル漏れや滲みはまず発生しないような組み方をしています。
まだ組んでから10年以上、というような車両が無いのでなんとも言えませんが、エンジンリビルト後6年以上、走行距離2-3万キロ以上の車両でも今のところ一切滲みも御座いません。
100%化学合成のマルチグレードオイルを入れるよう組んでおりますので、真夏でもマルチで十分なよう内部構成を配慮しています。

ハーレーとはいえ、品質の良いエンジンパーツが気軽に誰でも入手出来るようになった昨今。
選択肢の幅も広がって、チューニングやレストアの好きな方には良い時代になったと思います。

その一方で、選択肢が増えた事に加え、ネットの普及によりなんでも情報が入手できる為、真偽性を見極める事が益々難しくなっていると思います。何処のショップさんでもブログやインスタ、フェイスブックをやっており、個人も然り。情報は氾濫しています。

その中から自分に合ったショップさんを探す事が出来れば、楽しくて充実したハーレーのある生活が出来るんじゃないかと思います。


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実のところ、ここ数年で今の仕事を辞めようかと考えていました。もう10年もすれば60歳ですし。
しかし、引退?に向け計画してた案件がモノの見事に流れ(笑)、それはまだこの仕事を続けろという事を意味するんだろうなぁと思い考え直した次第です。

この先も流行に流されず、自分が思った事だけを地味にコツコツやっていけたら幸せ。
店を宣伝して大きくしたり、お金を儲けたりも得意ではないし、正直あまり興味も無い。

自分の好きなレースを、好きな時まで続ける。
気の合うお客さんらに仕事を頂き、単車を弄って一緒に走る。
空いた時間に何処其処で水面に釣り糸を垂らせていられれば、ほぼ幸せな人生かなぁ、なんて。笑

ちょっと最後は話題から逸れてしまいましたね。
さてさて、明日からもボチボチ頑張ります。
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