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MARUMASU Motorcycle Lounge

2006 - 2023 Specializes in Harley-Davidson / Japanese Classics Maintenance & Speed Pro Shop " The Spirit of Bonneville Salt Flats" Land Speed Racing. / 2010/2011 FIM World Speed Record : 2011/2014 AMA National Champion : 2017 Fastest EV Motorcycle in Colorado Mile Race.

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'87y XLH883改1200 ナラシ走行1回目。

今日は1日中高速を走ってました。

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いつもなら桑名から一旦南下してから西へ走り、東名阪→新名神→名神→東名→伊勢湾岸という300kmをグルリと走らせるのが常ですが、この時期に関ヶ原を通るのは危険です。という訳で本日は静岡方面へ向かう事に。新東名、東名、伊勢湾岸を走るルートです。

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伊勢湾岸の刈谷ハイウェイオアシスでHさんのFXSと待ち合わせ。今日のナラシに付き合ってくれるのです。後ほど理由は分かりますが、今回はHさんに本当に助けられました。

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さて、刈谷をスタートです。

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まずは新東名で北上します。今回のナラシは最初の300kmですので最も低い回転域を馴染ませる作業です。

ナラシというものはただ単に回転数を守って距離を走る、という簡単なものではありません。
注意深く四六時中回転数に注意し、その都度必要なスロットル開度に合わせ走らせます。負荷が掛かり過ぎても駄目ですし、負荷が少なすぎてもナラシをしている意味が無くなるのでとても気を使います。

例えば4速2300rpm回転辺りで走らせているとしますよね?このXLのファイナルだと2000rpmで60km/h、2500rpmで丁度80km/hになるのでまぁスピードにすれば75-80km/hといったところです。高速道路では左車線でもバンバン抜かれるスピードです。

回転数は路面の状況により当然変化します。例えば同じ速度だとすると下り坂なら回転数は下がりますし、上りなら回転が上がります(ですのでナラシ中には正確なタコメーターが絶対に必要になります)。

回転数に気をつけながら、上り勾配を利用したり、故意に若干の加速を行いながら出来る限りスムーズなスロットルワークでジワジワと負荷を掛け、自然にエンジンが回って回転数が無理なく上昇するのを待ちます。
一度も回してない領域になるとエンジンは少し回転が重い感じになりますが、ゆっくりと自然に馴染んで回るようになるのを待っていると、スロットルを開けなくともスルスルと回転が上がり速度が上がるようになります。その時それがその回転数でのエンジンが馴染んだ、という判断になります。

この動作を200-300rpmといった非常に細かなレベルで繰り返していくというのが当方流の初期ナラシです。
ですので2300rpmまでが終了していたら、次は2500-2600rpmまでを行い、続いて2600-2900rpmといった具合。

スロットルを”開ける”のではなく、エンジンが自ら回ろうとする事に対して必要な分だけのスロットルを”当ててやる”感じです。

ナラシには色々な考え方がありますので最初からある程度回した方が良い、という方もいます。
しかし、これでまで組んできたエンジン内部の状況から判断すると、この極初期のナラシを本当にしっかり行った車両のエンジンは、どの回転数からでも引っ掛かりなくトップエンドまで一気に回ります。とんでもない速度域で走る事を絶えず繰り返しても、もちろん壊れませんし、エンジンを開けてみるとピストンやシリンダーは非常に綺麗な状態です。
これはひとえにエンジンが「真芯」で回っているという事の証拠だと思うんです。

エンジンを組んだばかりの段階では何処も彼処もアタリが付いてないので均等には当たらない筈です。物理的に干渉したまま動き続けるピストンリングなんてその最もたるものだと思います。
それを綺麗に均等に当たるようにするには時間をかけるしか方法は無いと思います。

部品精度が高く、ストロークも短くクランクシャフトの軽い4発マルチエンジンなどなら兎も角、クソ重たいフライホイールを有り得ないロングストロークで回すハーレーのOHVエンジンでは、石橋を叩くような地味な手順を踏む事こそが必要であると思うのです。

そして、こういった”高精度なエンジンの馴染ませ方”は実際走行してのみ出来うる、という事。ですのでダイノマシン上で一定時間毎にロードを掛けて行ったとしても到底無理なレベルです。

実際路上でナラシを行って来たFXLRレーサーはボンネビル走行後でもピストン、シリンダーはとても綺麗な状態でしたが、ダイノマシンで簡易的なナラシしかしてなかった赤いレーサーではピストンに微細な縦傷が入っていました。キャブ車とインジェクション車と考えても赤いレーサーに分がある筈ですが、実際は逆でした。
これを体験してから後は初期ナラシに特に拘りを持っています。


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そんな感じで150kmほど走らせていたら、いきなりガソリンリザーブに。回転数ばかりに気を取られて2.25ガロンタンクの燃費に全く気が向かず。間抜けです。
最も近いパーキングに滑り込み、Hさんの車両からガソリンを400cc貰いました。加えてニードルジェットを最も薄い状態に。これは不可抗力でしたが。

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ガソリンスタンドのある湾岸下り刈谷PAまでが29km、同じく東名下り豊明PAまでが20km。ガソリンは残り1リッターちょっとだったのですが、刈谷になんとか辿り着けるかと思い湾岸刈谷方面に。結果見事に刈谷PA手前200m程でガス欠しエンジンストップ。。

身長の高いHさんにほとんど押して頂いて刈谷PAに辿り着きました。本当ーーーーーに申し訳なし。

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ナラシ中はエンジンをしっかりと温め、しっかり冷やす事も重要です。
冬場はナラシに最適ですが、エンジンが冷めるまでの待ち時間が辛くなります。
そういった意味でもHさんが話し相手となってくれ、終始ナラシが楽しく行えました。

ガソリンを入れてから遅い昼食をとり、帰路につきました。Hさん、今日は本当に有難う御座いました!

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暗くなる前に無事店に戻りました。走行300kmには手が届きませんでしたが、2600rpmまでの回転域はバッチリ馴染ませられたと思います。明日オーナーさんにご来店頂くので今後のナラシのやり方と納車についてご相談させて頂きます。

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お疲れ様でした。

※長々とナラシの方法や考え方について能書きを垂れましたが、ショベル、エボ、ツインカムでやり方は若干異なります。またエンジンの仕様やパーツチョイスによってもその都度変えています。絶対にこうでないと、というものではありませんし、当店独自の考え方ですので皆様お間違え無く。
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