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今年のボンネビルを終えて。

2016年のボンネビルが終了しました。

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昨年の"Mike Cook's Land Speed Shootout"から1年、足掛け2年関わらせて頂いてきたモビテックさんのEVバイクプロジェクト。
この1年の集大成を実践で評価する為に、また今年もこのボンネビルにやってきました。

今年のボンネビルは雨が少なく、先に行われていた"Speed Week"も3年ぶりに開催されました。
多くのレコードが記録されていましたので当方も期待して現地に乗り込みましたが、噂通り、ここ数年見た事がないほど塩が硬く締まっており、俄然期待が膨らみました。

城里最終テストでも記載していますように200km/h以上で発生していた横揺れは前後ホイールでのジャイロ効果の発生により解決出来ていたと踏んでいた訳ですが、結果は動画などにもアップしたとおり、またも再発。

以前からEV-01Aは”4輪とも2輪とも違うフィーリング”、と当方は表現していましたが、それでもなんとか乗り方を工夫し今まで走らせてきました。当然それはアスファルトの路面での評価であり、塩の上で車体の動きが変わる事はこれまでの経験で分かっていました。しかし、重さのあるEV-01Aではトラクションや空力的に良い方向に作用するのではないかと明るい方向に考えていましたが、実際はそうではありませんでした。

一本目の転倒ではスロットル特性が城里テストのままだった事もあり、どちらかと言えば一気にパワーが立ち上がるプログラムでした。それによりリアがスリップし横滑りしてしまったのは仕方ないとしても、その後コントリール不能となりリカバリーが全く出来ませんでした。

正直リアがスライドするのはいつもの事なので慣れていますし、それをコントロールしながらスタートすると早い加速に繋がるので良い記録が出ます。EV-01Aのようにとてつもないパワーがあればそんな事をしなくても良いのですが、非力な当方のレーサーでは1、2速での素早いスロットル全開での加速が絶対条件となります。

しかし、EV-01Aはなるべく車体を滑らさないようにしないと、車体の前後左右方向に重量物が分散している為(つまりは重量マスがセンターに無い)一度滑り出すと370kgある車体はもう止められません。クラッチのように動力を分断できる装置も無いので一旦滑り始めると止められず、その後タイヤのグリップが回復すると、その車重もあってか転倒時動画のようにハイサイドを起こします。

エンジンパワーが非力であれば問題無いのですが、あれほどの重さの車体が極低速で簡単に空中に浮かぶ程のパワーですから、250km/hを超える高速走行時でもボンネビルではホイールスピンを起こしますので(正確にはスピンしながら進んでいます)、横風で車体が流される事も珍しくない為、スライドすればその結果は安易に想像ができます。

バッテリーやモーターといったパワートレインは本当に素晴らしく、スロットルをずっと全開に出来るのなら、200mph(320km/h)オーバーなんて簡単に出てしまうような余力を乗っていると感じます。(実際ボンネビルの200km/h走行時のスロットル開度は40%にしか達していなかったデータからもそれは明らかです)それは本当に魅力的で素晴らしいのですが、パワーに対して車体側が全く付いてきていない、と当方は感じます。

剛性云々、という訳ではなく、車体コンポーネンツの配置の悪さ、それはバッテリーやコントローラーの搭載位置であるのか、ホイールベースであるのか、そもそもリアのダイレクトモータードライブにあるのか今は分かりませんが、何か原因が車体にあるのは間違いないと思います。

しかし、乗っていて思うのは、現地でもモビテックさんらに話しましたが、大事なのは”乗り易いかどうか、”という事。
どんなクルマでも単車でも、本来、人が操作して最も快適なよう設計されていると思います。

当方は単車屋を営んでおりますので、普段からまずは乗り易さを第一に考えます。結果、乗り易い車両は安全ですし、操作もし易いので結果的には”速さ”にも繋がります。
それは特殊なレース専用車両においても基本だと思います。

誰もが速く走らせられるように、とは言いませんが、誰が乗ってもそこそこ普通に走れるものにしないと、何か咄嗟の判断が必要になった場合、最悪リカバリーできないものになってしまいます。2輪は特にここが重要ですから、今のEV-01Aはこのあたりに改良の余地がまだまだあるかと思います。

これらの問題点を解決するにはそれ相応の時間と大掛かりな修正や改良、もしくは作り直しが必要だと思われます。

この先、どこまでモビテックさんがこの車体を追い込んでいくのか分かりませんが、折角ここまで続けてこられたプロジェクトですから、是非ともボンネビルのフルコースを問答無用の”全開”で走行できるような車体に仕上げて欲しいと切に望みます。

以上のように車体については多くの問題点を残し満足出来る結果ではありませんでしたが、それ以外の事では多くの良い事がありました。
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ボンネビルではアジア系やアフリカ系といった有色人種の方を何故だかあまり多くは見かけません。
その中に日本人が10名ほど加わった訳ですが、やはり若干目立ってしまう訳です。
日本人はとかく日本人同士でコミュニティーを作りがち、というイメージが当方にはあり、それを個人的にはあまり良いと思っていません。そもそもボンネビルは白人の方々が始めたレースですから、”郷に入っては郷に従え”と思う訳です。

しかし、キットやマークらを筆頭に、当方が仲良くして頂いている多くのレーサー達が、いつもと同じよう接してくれていましたし、モビテックさんもそれに答えて頂いていた、と思います。

ボンネビルはレーサー同士が助け合う事で成り立っていると思いますし、それが何よりも魅力的なレースです。
記録は記録で当然大事なのですが、他のレーサーとの交流あってこそ。チームが完全に”浮いて”しまったらどうしようかと心配もしましたが、そんな心配は無用でした。

また、今回最も嬉しかった事。

BMSTは基本ボランティアのスタッフで運営されているのですが、今回はスタッフの数が足りず、初日からボランティアの募集が行われていました。
モビテックさんのクルーは人数も多かった事もあり、2日間、2名の方が交代でレーススタッフとして終日コースに出ていました。

これは大会関係者も非常に喜んでおられましたし、当方もボランティアスタッフは未だ未経験ですから少し羨ましかった。
是非とも今回の繋がりを今後も大事にして頂ければ思います。当方が7年間レースを続けてこられたのも、多くのスタッフの方々にも支えられてきたからこそですので。

モビテックさんのEV-01Aによる活動が、技術の向上に繋がる事は間違いないと思いますが、こうした海外の方々との交流により、より人間味が深く、広い視野で物事を判断できる人材育成に繋がれば、企業側としても得られるものは大きいのではないかと思います。

客観的に見ても、こういった活動に予算と人員を注げるというのは本当に魅力的な会社であり、その中で働く方々をとても羨ましく思いました。

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ともあれ、当方個人にとっては、誰の、どの車両であれ”速く走る”という一言に尽きます。
勝てなければ、やってきた意味がありませんから。

今後の方向性は分かりませんが、来年や再来年を見据え、次のステップを探す事にします。

とりあえず、今年のボンネビルはこれにて終了です。
皆様、本当にお疲れ様でした。

最後にkit / Gene / Robb /Teru / Fukumi_chan、本当に有難う!!



※ 乱筆乱文、失礼致しました。
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