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T-man 124RX FXDBI ダイノマシンでのセッティング。

今日は"Bull's eye"さんにお邪魔していました。

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今回、SE120RからT-man 124RXと改造したFXDBIのエンジン、以前はサンダーマックスでコントロールしていましたが、今回は純正コンピューターをダイノフラッシュで書き換えて使う事になりました。
どちらにも一長一端があり甲乙を付ける事は不可能なのですが、ダイノフラッシュであればセッティングに長けているのはブルズさんしかないと思い、今回ナラシの段階からセッティングを依頼しました。

とはいえ120Rはもともとレース専用エンジンですし、何よりオーナーさんの乗り方が主に湾岸での使用に特化していますので特殊と言えば特殊です。しかし、レース専用車両ではなくあくまでも”街乗り”の単車ですから、ごく普通に走らなくても駄目ですからより一層セッティングは難しくなる訳です。どんなにパワーが出ていても始動性が悪かったりしたら、それは駄目ですよね。

まずはダイノジェットとサンダーマックスの相違点、メリットやデメリット、サンダーマックスとのデータ比較から説明を聞いた上でオーナーさんの乗り方を細かく伝え、セッティングの進め方を話し合いました。

ここ最近の湾岸はベース車両の年式が上がってきたせいもあってかトップスピードが全体的に上がっています。ハーレーでこの車両と同等に走れる車両もオーナーも皆無なのは確かなのですが、当方が感じる湾岸のイメージは*80km/hからトップエンドの*30km/hあたりの加速が速くてレスポンスが良ければ、誰よりも速いと思います。
この辺りの速度域を純正ベルトドライブのまま、それも6速で走れるようセッティングを詰める事にします。

ブルズさんではダイノに載せる前に車両毎にO2センサーが基準値通りなのか計測し、駄目なO2センサーは即交換して対応します。また画像にある純正フューエルアタッチメントに割り込ませる燃圧センサーのお陰でリアルタイムに燃圧をモニターできますので、ビックスロットル+大容量インジェクターを使ったノンキットのスペシャルエンジンでも、より正確でパワーの出るプログラムを作成して頂ける訳です。

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サンダーマックスのデータやこれまでのこの車両のフィーリング、そして以前はほぼ同じ仕様だった当方の2000APS-PGボンネビルレーサーでの経験値を踏まえ、全域に渡り新角マップを手打ちで微調整。当然あまり進め過ぎるのは危険ですが、このエンジンの圧縮比やカムプロフィールに応じた点火時期は必要です。
数値と3Dマップを使ってスムーズなデータを作っていく作業なのですが、点火時期まで細かく追ったデータを作っているのは日本にダイノマシンを常設しているショップは数あれど、ほとんど聞いた事が無い、と言っていました。
まぁワザとごく一部を単純に遅角させ、三拍子を打たせるだけの為に点火時期を弄っているショップさんはあるかと思いますが、、

とりあえずこの車両ではロード負荷ゼロ状態でしたが6速 / 6000rpm / 135ps / 250km/hという結果でした。実際走らせた状態での負荷を考えても実馬力と実速度程度という事でした。※当然ピークパワーや最高速度への到達時間はダイナモ負荷の無い状態と実走行では雲泥の差となります。また走行中の空気抵抗はありますのでその分は落ちます。

パワーチェックした馬力の結果だけを追うならば故意に良い数値は出せますが、それは素人を喜ばせて騙しているだけ。凄い馬力が出ているにも関わらず遅い車両は、乗り手の腕が悪いか、車両の実際のパフォーマンスが低いのかそのどちらか。

トップエンドは6000rpmを超えても右肩アガリでパワーが出るのがこのハリケーンヘッドの特徴ですが、6200rpmで少し垂れたので無理せずレッドゾーンは6300rpmに設定。

因みに当方のボンネビルレーサーではレースでブチ壊れる事は構わないですし、何よりラムエアー車両なので6700rpmリミットまでキッチリ回します。今のところバルブジャンプも無いし特別トラブルは皆無ですが、ストリートの場合は路面の継ぎ目を拾ってリアタイヤが空転し、回転数が一気にジャンプする事もありますから、そのあたりの見越しての安全マージンとして、スロットル開度時間での段階的な燃料増量+遅角で不意のレブジャンプを3重に保護し、エンジンに”保険”をかけています。
勿論、この辺りのアドバイスはブルズさんに教えて頂いています。

またこれはT-manカム全般における特徴のひとつだと思いますが、2000rpm-3500rpm辺りのパワーの出方が半端ない。110cu"+スーパーチャージャー仕様の120psデータと比べてもその差は歴然。中低速でも乗りやすいのではないかと想像できます。

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進角をわざと遅らせて3拍子を狙ったり、わざわざフライホイールを重くして昔ながらのフィールを求めるという、所謂”デチューン”が罷り通るのはハーレーだけの特殊な世界だと思います。

オートバイは非常に趣味性の高い乗り物ですから、いろいろな方が乗っており、その”気持ち良さ”を求めるフィーリングはそれこそ千差万別ですから、他人がとやかく言うところでは御座いません。それは分かります。

しかしながら多くのショップさんがダイノマシンを導入する昨今、本当の意味でエンジンをベストな状態に持っていけるショップさんがいったい何件あるのか当方には知る由もありません。
ただ、個人的に思うのは、Bull'sさんのところへは同業ショップさんが数多く車両を持ち込んでいらっしゃいます。それは、やっぱりそういう事なんだと思います。

今回ブルズさんで拝見させて頂いた作業はプロとしてのプライドに重きを置いた、妥協の無いものだと思います。
素人さんには兎も角、同業のプロに見られても恥ずかしくない作業を、というのがどんな職種でも拘るべきところではないかと思います。

エンジン仕様が特殊な為、全くデータの無い状態から作ったので苦労した、と笑っていましたが、そこはお金ではなくブルズさんの”意地”であり、ノウハウの蓄積の為という向上心からくるもの以外に考えられないと思います。

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エンジンを組む事。コンピューターを設定する事。

どちらも仕事として依頼を受け、お互いベストは尽くしておりますが、その最終判断はオーナーさんが”気持ちが良いのかどうか”、それが全てです。
どんなにダイノ上での数値が優れていても、走行フィールが好みに合ってなければ駄目。実際に速いのは基本中の基本。

最終判断はオーナーさんに委ねますが、これだけの排気量と圧縮比のエンジンで6000rpmまでなんの引っ掛かりもなくスムーズに回るのを見て、少しだけホッと致しました。が、油断は禁物なんですけど。

Bull's eyeさん、本日は有難う御座いました!納車の週末まで宜しくです。
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