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EV-01A テスト走行回顧。

長文失礼。

P6267356のコピー


EV-01A国内テスト回顧録。

”TEAM MIRAI”率いる岸本氏をゲスト評価ライダーとして迎え、5月27日に行われた飛騨エアパークでの走行評価。
コース長約800mという短い農業用空港なので、制動距離を考えると出せる最高速度は150〜170km/hです。

それまでJARI城里テストコースの直線路やオーバールコースを使って何度も行ってきた走行評価で、高速域で発生する車体の横揺れに対する原因究明が目的でした。

根本的な車体の重心変更はその車体構成から考えても現時点で大幅に変更する事は難しく、鉛の重りを車体のいろいろな部分に巻きつけ、擬似的に重心を変える事で車体の挙動変化を見極める、という方法を選択。

岸本氏と当方で交互にEV-01Aを走行させ、170km/hまでの速度域での横揺れは発生しなくなっていた為、飛騨での検証結果は概ね良好とし、これで横揺れは解消できるのではないか、というのが大方の予想でした。

翌6月5日、飛騨とほぼ同じ条件で臨んだ城里テストコースでの走行評価。

多用途試験路という直線1500mを使ってのテストだったのですが、200km/h前後で激しい横揺れが再度発生。これまでよりも遥かに激しい揺れで、スロットルのON/OFFに関わらず、速度が170km/h程度まで落ちないと揺れは止まず、転倒を回避するのが精一杯という状況でした。
これには流石にモビテックさんのスタッフさんも当方も、がっくりと肩を落としました。

これまでも横風の影響やタイヤの銘柄によっては若干の横揺れは発生していた為、突然横からの突風が吹くボンネビルのコースでは不安と言えば不安だった訳ですが、これだけ顕著に現れたのはこの2年余りで初めての経験です。

実際ボンネビルで横揺れが発生し、最悪転倒にも繋がる事を考えれば、国内のテストで症状が出る方が良いのは誰が考えても明らかです。
しかしながら200km/hでの激しい横揺れというものは手強いものがありますし、もし転倒してしまえば車体へのダメージは大きく、時間的な猶予はもうありませんから今年のボンネビルへの参加はその時点で不可能になってしまいます。

城里テストコースはなかなか予約が取れないという事で、国内最後の走行評価は6月25-26日という事になりました。なんらかの打開策を考え横揺れを食い止めなくてはいけません。

限られた時間でしたが多くの方々にご意見を伺い、思いつく限りのテスト項目をリストアップし臨んだのが今回の城里での最終テストで、モビテックのスタッフさん達もいつもとは少し違う面持ちです。勿論当方もこれが最後という心持ちでテストに挑みました。

最初、前回の城里テストからの変更点は1点。リアタイヤの銘柄変更です。

朝は生憎雨が降っており路面はウェットでしたが、時間も無いので構わず出ます。200km/hを超える辺りからいつものように横揺れが発生しますが、転倒するほどのものではありません。EV-01Aは多くのオートバイと同様にタイヤによる影響が大きく、銘柄の変更で車体の挙動が若干変わります。
しかし、横揺れを抑える程の抑止力は無く、原因究明には至っておりませんでした。

その後風洞の解析データを参考にし、新たにデザインされたニューカウルに交換。その容姿からコードネーム”コブラ”と呼ばれているアッパーカウルです。
かなり低い位置にセットされており空力的には有利そうですが、真正面から見たときの幅が大きく見えて大丈夫なのか少しだけ心配になります。

しかし、走らせてみると思いのほかカウルの効果が現れており、それまでの空気を引き裂く衝撃波のような音(新幹線がすれ違う時の音にとても似ています)が無くなっており、カウルの中に伏せていると、とても静かな事に気がつきました。
カウルを変更して風切り音が減少した事でモーターの発生するジェット機のような音が顕著に聞けるようになり、乗っているライダーにはあまりモーター音が聞こえないこのEV-01Aでも、かなりの音量で聞こえてくるようになっていました。
コース上で走行を見ていたスタッフさん達も口々に走行音が変わった、と言っていましたので、その効果は大きかったと思います。
なお、この時点で230km/h台をコンスタントに記録しています。

他にも車体の剛性アップや重心変更、更なるタイヤの変更など多岐に渡る検証を行いましたが、アッパーカウル変更ほどの効果は見られず。

その後、車体の一部にジャイロ効果を発生させる方法がとられ、検証してみたところ、劇的な変化を感じました。

これまでスロットルON時に揺れが発生しない(もしくは揺れが小さい)状況だとしても、スロットルを閉じると揺れが大きくなるという症状が頻発しておりました。
しかし、この検証ではON/OFF時共に、ほぼ体に横揺れを感じる事は無く、ライディングの姿勢を変えてみたり、わざと車体を揺らしてみたりするのですが、どう走らせてみてもコンスタントに240km/h台が安定して出せます。

1500mあるコースを使っても実際制動距離を考えるとスロットルを開けていられる距離はせいぜい半分までなのですが、なるべくフロントブレーキの負荷が少なくなるよう回生ブレーキに頼る減速を心がけていてもブレーキローターは一発で歪みます。
放熱性を考えて6ミリ厚のローターをセットしていますが、今回のテストで自分の中で目標としていた速度である250km/hをマーク出来ましたが、お影でブレーキローターは寿命が尽きました。

横揺れに対する打開策はこの時点でほぼ解消されていましたが、同じスロットルの開け方をしていても加速フィールが違う時がある事が不思議でした。バッテリーやモーターの出力状況にはほぼ変化が無い、という事ですので、電子制御スロットルからの物理的な入力信号の誤差なのかもしれません。しかし、そういったメカニズムについて当方は全く詳しくありませんので、判断については何も語る事は出来ません。

ともあれ、この最終テストで今まで自分が思い描いてきた理想のイメージに近い車体に仕上がってきた事はとても嬉しく思います。何も無い”ゼロ"の状態から開発を行ってきたモビテックの皆様にとっても、今回の結果は喜ばしいものであったのではないかと思います。

これまで自分のレース車両では、日本で一度も走行させる事なく、ボンネビルでの走行が初走行という事が多々ありました。
アスファルトの上と塩の上を走る事は全く違うのですが、数年に渡りボンネビルを走ってきているので、塩の上で車体にどんな挙動が出るのか大凡予想は出来ます。
アスファルトの上とは言え、これまで何度も何度も試験走行出来た事は、ソルトフラッツを走るにも、とても大きなアドバンテージになると思います。

この2年、EV-01Aの開発に携わらせて頂いておりますが、現状での車体の完成度を知る上でも、今年のボンネビルに参加する事は最低条件だと思っておりました。
勿論、出場する以上は結果を残したいと思いますし、それがモビテックさんにとってはひとつの目標であり、それを実現する事が当方の”仕事”です。
これまで沢山の方々が携わってきたこの"MOBITEC EV-01A"ですが、皆様の苦労が報われますよう、現地でも死力を尽くしたいと思います。

今年のソルトフラッツの状況は今のところ良好のようです。8月のモーターサイクル・スピードトライアルを是非楽しみにしていて下さい。
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