2016.04.15 Fri
TC96 リークレス貫通ミッドシフト加工。
現在流行りのFXSB"ブレイクアウト"に代表されるフォワードコントロール車両、FL系のフットボードのツーリングモデルも同様です。
社外のミッドコントールキットを使い、アウタープライマリーの外側を取り回してミッドシフト化する方法もありますが、フォアードコントロールのプライマリー前方からのシフターリンクだとどうしてもシフターアームの長さが短くなってしまいニュートラルが出難くなったり、シフトが硬かったりしがちですし、長いリンケージでの取り回し故シフトフィールも悪くなってしまいます。
何よりプライマリー外回しのミッドシフターリンクは見た目がストックっぽくなく後付け感満載な為、”外観ストック然"に拘るのならこれは頂けません。
そこで外注さんにご協力頂き、TC96プライマリーの貫通ミッドシフトを数値化し、単体で加工できるようにデータ取りして頂きました。
アウタープライマリーのインスペクションカバー位置(正確にはTC96はインスペクションカバーが一体式ですので存在しませんが)に貫通したシフターをセットする為の削り出しボスがネジ止めされ、更にシフト操作を良好にする為ジュラコン製のカラーが圧入されています。カラーは個々のシフターアームに合った寸法公差で作られています。
またインスペクションのベース部分は元々なだらかなアールを描いている為、フライスでまずは平らな面を切削後、ボスはセットされています。
加工後、ネジ部からのオイルリークも考慮し、液状ガスケットにて固定しておりますのでアウタープライマリーのボス部分は非分解式としています。

インナープライマリー側も同様の構造です。シフターリンケージがシフト操作時にクランクケースやT/Mケースに干渉しないよう、適切なボス飛び出し量に設定しています。


貫通シャフトアッシーはアルミ材からの一体削り出しで剛性感を高め、同時にシフトフィールをカチッとした節度ある操作感にします。FXRやFXDBの純正ミッドシフトに比べても、はるかに高強度。

専用ジュラコンカラーは個々の車両ごとに製作。表側と裏側でも寸法公差が異なりますので入れ替えて使う事はご法度です。

ストックの湿式1次ドライブに対応させる為、表、裏側共ボス内部にOリングを使ってオイルのリークを防止するよう加工。プリモなどの乾式インナーベルトドライブキットでも問題無く使えます。

外側の6角ボス内部のOリングと、シャフト内側にセットされるジュラコンカラーのダブル構造でオイル漏れ対策を施しています。
なお、この構造でのミッドシフト化は当店製作の青いTC96-FXRで既に数千キロ走行してテストして頂いており、今のところ全く問題はありません。シフトフィールも素晴らしいものがあります。
特筆すべきはそのメンテナンス性の高さ。プライマリーやクラッチ回りの分解整備時はアウター側のジュラコンカラーを指で外すだけ。他に取り外さなければならいないものは何も無いので整備性はストックと全く変わりません。操作感は勿論重要ですが、整備性まで考えてこそ、最良のパーツであると思います。

こちらの加工を施工する事により、TC-FXRは勿論の事、TC96ツーリングモデルやFXSBブレイクアウトでの貫通シフト化が可能になります。
※インナープライマリー+アウタープライマリーを送付して頂ければ部品単体での加工を施す事も可能です。ご興味のある方はお気軽にお問い合わせ下さい。
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