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EV-01 風洞評価。

風洞試験施設での評価を終え帰宅致しました。

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今回EV-01初となる風洞実験施設での評価に出掛けていました。

書きたい事は山程ありますが、守秘義務の生じる内容が多いので詳しく書く事はできません。よって試験の内容を事細かに説明する事は不可能なのですが、主観的な評価や記載しておきたかった事柄を、忘れないうちに文章にしておきたいと思います。しかしながら当店業務にはなんら関係がありませんし、お客様には何一つ有益な情報は無いかもしれませんが、お付き合いを頂ければ幸いです。

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当方は2015〜2016年とモビテック様と契約を結び、EV-01の開発支援及び専属ライダーとして契約させて頂いております。ライダー契約とはその名の通り、EV-01をテスト走行してみたり、実際のボンネビルでのレースで走らせる事が仕事です。
もう一方の開発支援、こちらは車両を仕上げていく上で、より良い車両に熟成させる為の謂わば、ご意見番、みたいなものです。

EV-01はそのコンポーネンツのレイアウト故、普通のオートバイとは似ても似つかぬ乗り物である、とは今まで何度も書いてきた訳ですが、前人未到、誰もチャレンジした事のない車両故の課題や問題となる箇所は当然大なり小なりある訳で、乗り手の当方が判断に迷う事も今まで無い訳ではありませんでした。

モビテック様は技術系の開発会社ですので設計段階から多くのデータを解析して車両に落とし込み、実際の車両を製作しておられます。しかし、当方はレーサーですから全ての物事を数値で考えている訳ではなく、主として”直感的な感覚”で物事を判断している部分が多いので、言葉で上手く説明する事が難しい場合もあり、どうにも曖昧と言えば曖昧です。

そこで、EV-01では車体の多くにセンサーが設置されており、いろいろなデータを収集出来るようになっています。それらの機器からの情報が走行後の検証、解析に一役買っています。

ですが、当方が走行中に感じる感覚、例えばフロントタイヤの接地感が少ないであるとか、フロントがリフト(浮いている)する感じがする、カウルの位置を下げたほうが良いと”思う”、車体のディメンションを前傾させた方が良いと”思う”、といったような直感的なフィールは第三者にはなかなかどうして伝わり難いものです。

今回、風洞試験を行って頂いた施設では、いろいろな状況を想定した計測が可能で、モビテックさんが欲するデータ、また当方が普段感じる感覚を数値的に落とし込めるかどうかを実際に試す事が出来て、全ての課題がクリア出来ていないにせよ、少なからず問題点の切り分けは出来たと思え収穫はあったのではないかと個人的には思っています。

風洞施設での検証は昼食こそ挟みましたが、朝から晩まで、11時間ぶっ続けで風洞の風に吹かれました。
終盤は流石に腕が上がってしまい、風洞計測中に体を支えているのが精一杯の状態でしたので体力的な限界は近かったと思います。
ですので集中力を最後まで持続する事はなかなか難しかった訳ですが、自分が直感的に感じていた事がほぼ間違っていなかったことや、それらの結果を数値に落とし込めた事は満足出来たし、頑張った甲斐があったのではないかと自負しています。

しかしながら、いろいろな場所でEV-01のテストを行っていると自分の判断や感じた事が間違っているかもしれない、とふと思う事が、特に疲れてくると感じる瞬間が稀にあります。

EV-01に乗っているのは自分独りですし、当方の意見を参考にしてモビテック様では改良を加えて頂いています。ですから誤った判断はしたくないですし、何よりも今年のボンネビルまでには多くの時間がありません。

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今回のある例をあげると、異なる方向より風にあたっているテストがありました。
最大風速に耐えつつ車体の挙動変化に集中していると、一瞬ですがふわっとした感覚が指先にあり、”あ、フロントがやっぱりリフトしたな”と試験中に感じたことがありました。
試験が終わり、制御室から出てきたスタッフさんに、今一瞬リフトしたよね?と聞くと、”いや、リアタイヤ側の数値でも100分の幾つ台でしたからほぼ上がって無いに等しいですよ”と言われました。
しかし、当方の体にはその100分の幾つかのサスの伸びが感覚でハッキリと分かりました。

また、今回EV-01の評価基準値として当方の2000APS-PGレーサーも風洞でデータを取って頂いたのですが、当方のレーサーはもともと何も計測や解析は行わずに感覚だけでフレームのレイアウトやカウルの製作を行っています。ですが、実際ボンネビルの塩の上で乗った感じは非常に安定しており、弾丸のように風を切り裂いて突き進む、手前味噌ではありますが乗り易くて良い車両です。その結果がAMAナショナルチャンピオンの記録に繋がっている訳ですが、風洞での検証でも、非常に良好な結果が出ていたように思います。

上記の理由を踏まえても、当方の直感的な判断基準は、まんざら間違っていないところにありホッとした次第でもあります。

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オートバイという乗り物はどのようなものであれ、人間が操るところの大きい乗り物だと思います。
ですからレシプロだろうが電気だろうが、乗り手が乗り易いと感じるものが、速さや安全性に繋がるものだと信じます。
ですから当方が今やる事は、正しい判断を行い、より”普通な”モーターサイクルにEV-01を近ずけていく作業なんだと思っています。

また、今回のプロジェクトでの”開発支援”とは、EVでの世界速度記録更新なので最終的に速く走るのは勿論なのですが、何より、より良いデータをアウトプットする為、毎回均等なデータを弾き出す事でもあると思います。

同じスロットルの開け方、同じ体重移動、同じレーシングポジションの姿勢。勿論データが全てではありませんが、第三者が客観的に見た場合でも解析する際に役立つデータとなるような走りを、精度の高いレベルで規則的に提供する事が当方にとっての”仕事”であると思いますし、何よりそういった積み重ねこそが、モビテック様の目標とする”世界最速”への正しいアプローチであると確信しています。

今自分が思っている事を疲れた体で殴り書きしているので文章が支離滅裂かもしれませんが、今回の主観は上記のとおりです。また最後に一言付け加えさせて頂き、今回のテストの感想とさせて頂きます。

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今回、風洞での評価を行って頂いた施設側の方々には本当にお世話になりました。テスト時間が押したにも関わらず嫌な顔ひとつせずお付き合い頂きましたし、最後の見送りまでして頂いて感激致しました。

モビテック様と関わり合いを持たせて頂いているお陰で、当方個人では、とてもじゃないですが繋がらなかったご縁ばかり。お話頂くのも烏滸がましいキャリアをお持ちの方ばかりですが、皆様熱心に話をして頂きました。若輩者の当方が生意気言って申し訳ないのですが、本当にオートバイという乗り物が好きな方々なのだなと感じた次第で御座います。

当方がまだオートバイといういう乗り物にさえ乗っていなかった幼少の頃から、好きな方には”聖地”とも呼べる場所で歴史に残るような車両に関わっていたような方々の職人気質を改めて痛感し、感動した次第です。

このようなチャンスを与えて頂いたモビテック様は勿論の事、試験施設の方々にも深く御礼申し上げたいと思います。本当に有難う御座いました。

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