2015.12.06 Sun
”職業レーサー”という仕事。
ボンネビルのスピードトライアルは日本でも公開された映画、「世界最速のインディアン」で少しは知名度も上がってきてはいますが、実際のところ日本で同様のレースが行える環境は無い為、日本人には全く馴染みの無いレースだと言えます。
国内では、その昔谷田部のオーバルコースでの最高速トライアルが有名でしたが、ボンネビルは知ってのとおり塩の平原を走るレースですから、普通塩の上を走るなんて事はまずありません。恐ろしく滑る塩の上での最高速アタックは走った事が無ければ全く想像だに出来ない世界だと思います。
皆様ご存知のとおり、2010年〜2014年にかけてプライベートで参加し続けてきたボンネビルでの最高速トライアルですが、2度のFIMワールドスピードレコード、同じく2度のAMAナショナルチャンピオンのタイトルを、2つのカテゴリーで記録しています。
そこで、ボンネビルに関して日本語で少しネットを検索すれば、まず当方のサイトに繋がる訳でして、ボンネビルに挑戦したいという個人や大学などからこれまで多くの相談を頂きましたが、頑なにお断りしてきました。
というのも余りに下調べが無い状態で、”とりあえず”経験者に聞いてみる的なアプローチばかり。そんな自分で調べようともしない人間には、とてもじゃないけど手間も時間も、加えてお金も莫大に必要な海外のレースに参加しようというのは到底無理だと思ったからです。
しかし、モビテックさんからの打診を頂いた時期はそういった事をお断りする事にも疲れてきていた頃でして、まぁ勿体ぶっていても仕方無いですし、本気でボンネビルを目指す方々に何らかの力になれれば、と思い初めた頃だった為、話をお聞きする位はまぁ良いか、という気楽な気持ちでOKしたのが最初でした。
それからは電気バイク”EV-01”の開発支援と専属ライダーとして契約させて頂き、モビテック様とも丸々2年のお付き合いになります。今年完成したEV-01を初めて持ち込んだボンネビルでは、残念ながら天候に恵まれず、2015年度のボンネビルで行われる全てのレースがキャンセルされるという異例の出来事が起こりました。まさかの”ノーレーシング”のまま帰国したのが今年の夏でした。
今年のレースが終了してからも、来年のレースに向けEV-01は更なる改良と改善が今もモビテックさんの手により行われている訳ですが、当方の開発支援及びレーサーとしての契約は今年の8月を以って一旦終了しておりました。
レーサーほど「プロ」の定義が難しい職業もない。たとえば最高峰F1のドライバーといえばもちろんプロということになる。年俸30億円を超えるシューマッハを筆頭に、高額の報酬を得るドライバーも多い。ところが一方には自ら数億円をかき集めてそれをチームに払い、F1のシートを確保するケースも珍しくない。ほかのスポーツに比べて複雑なのは、巨額のスポンサーマネーがすべて、というようなところがあるからだ。スポンサーはチームにつくこともあれば、レーサー個人につくこともある。事情は国内のレースでもそう変わらない。アマチュアで下位のカテゴリーのレースに出ていても、活躍して脚光を浴びれば、大きなチームから声がかかったり、スポンサーがつく可能性が出てくる。国内でもっとも上位のカテゴリー(現在はフォーミュラ・ニッポン)になると、出場するレーサーの大半は、レース中心の生活をしているという意味ではプロ、ということになる。もっとも最近では10代のカートのレースで才能を認められ、ある種のエリート教育を受けて海外でデビューするなどのケースも出始めた。単なるスピード狂がレーサーを目指せる時代ではなくなりつつある。プロとそうでない者を隔てる資格制度は特にないが、出場するレースのカテゴリーによって、JAFが発行するライセンスが必要になる。
<< 編集部の職業解説 >>
レーシングチームに所属し、そのチームのマシンを操縦するドライバー。レーシングドライバーはただ速く走るだけでなく、高速で走行するコース上で他のマシンと駆け引きをしながら、刻々と変化するタイヤや路面状況、燃料を含めたマシンコンディションを完全に把握し、対応する力が求められる。燃料のペース調整など様々なセッティングもあり、走行中はドライバー1人ですべて行わなければならない。また、数百キロで走行しながらコーナーを曲がると、遠心力で日常の生活では感じない2~5Gという重力を受け、肉体的にも相当厳しい。その中でレースに集中し、ミスをしない走りをするには超人的な集中力と精神力が必要。レーシングドライバーになるためには国際A級・国際B級・国内A級・国内B級などのライセンスが必要で、所持するライセンスによって出場できるレースが規定される。
どれくらい稼げるの?
車にかかる費用は年間何百万円にもおよぶためレース開始当初は食べるのにも事欠くほど。プロに成り立ての頃もスポンサー探しに奔走し、車、タイヤ、ウェアなどの提供を受けるようになっても貧乏は続きます。年300万円程度の収入はありますが何かと出費もかさむそう。トップレーサーになるとチームからのギャラのほかにテレビ、ビデオ出演などの副収入も増え、ここまで登りつめれば年収数億円になります。(※1)
※1『クルマの仕事で夢をかなえる本』三推社・講談社よりp17
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