2015.06.13 Sat
EV-01 Test Report in Shirosato #02.
プリロードはイニシャルアジャスターを使ってひとメモリ分締め込み、ストロークスピード自体は早いとは感じなかったものの、伸び、縮み側共に3ノッチから5ノッチに変更してみます。この車両にもレギュレーション通りオーリンズ製のステアリングダンパーがステムアッパーに装着されていますが、テスト走行程度のスピードでは必要無いと判断し、ほぼほぼ効き目の無い程度に調整してあります。
雨が止んだタイミングで2本目開始。
今回はスタート位置を後方に取り、よりスピードを出せるように考慮しました。
まだ慣れないのでスタートは緊張するのですが、車体を真っ直ぐ進行方向に向けたら、スロットルはロックする位置まで全開し固定。エンジン音はありませんし、モーターもリアアクスル上にあるのでモーター音は自分にはほとんど聞こえません。風を切る音とロードノイズが耳に入るだけで、速度の出ている感じや、加速感もあまり有りませんが、メーター上のGPSスピードメーターはスルスルと上がっていきます。
120km/h位までは速度の上がるのが何故か遅く感じられ、ゴール地点のバリケードが目に入るので何処までスロットルを開け続けようか少し迷います。スピードメーターが160km/hを超える辺りでスロットルを閉じ、ブレーキング。とはいえ路面は濡れてますし、フェードが怖いのでゆっくりと何度もブレーキングを行い、かなり手前で止まりました。
因みに今回、左手側にあるリアブレーキは一切使ってません。最初の一本目だけ動作を確認する意味で試しに握ってみてはいますが、容量的にあまり役に立つとは思えませんし、実際のレースでも止まる瞬間や積み下ろしの時しか使いません。
続いて復路。
時間的に最後の一本になりそうでしたので、ちょっと頑張って、コース幅が狭くなる1000km/hポイントまではスロットルを全開でいこうと決めました。
コース左側からスタートしたのですがコースが細くなるポイントが視界から見えないし、何処がコース中央なのかちょっと分からなくなりました。しかし、加速が緩やかですので軌道を修正することは安易です。コース幅が狭くなる手前でスロットルを全閉し、スピードメーターを見ると160km/h程。しかしそこからメーターは一気に上がり177km/hを表示。
この時、今回最も気になる挙動が出ていました。
ゆっくりとしたピッチングで車体がユラユラと左右方向に揺れ始めたので腕のホールドを強め揺れを抑えました。いきなり転倒に繋がるような揺れではないし、フロントサスのプリロード不足やタイヤチョイスや空気圧のミスマッチ、またフレームの剛性不足といった症状ではなく、車体のセンターを中心にして揺れている感じでした。
あまり体験した事のない揺れで、左右モーターの同期が原因なのか、それとも車体構成に問題でもあるのか、理由は今のところ思いつきませんが、これ以上スピードを出せば消えてしまうような揺れなのか、それとも増幅するものなのか、自分のポジショニングを少し変更する事で(実際のレースではより後方に乗り、車体制御を行う事が多いです)収まるものなのかどうか、分からないままに走行テストは終わります。
スロットルを閉じてから、まだ車体が加速していく感じは無かったので電子制御スロットルとメーターの誤差だとは思いますが、今回で最も力強くブレーキングを行います。
しかし既にブレーキレバーの握りしろが深くなっているのが分かりましたし、フロントサスもかなり沈み込んでいたのでフルロックとフェードを回避する為にも微妙にブレーキをコントロール。なにせ高価な車両ですから止まれず車両にダメージを与えるのだけは避けたいと思いました。
とはいえ特に焦る事もなく、制動距離も十二分にある事は自覚していたので、思い通りのポイントでストップする事が出来ました。止まったと同時にフロント側から焦げ臭い匂いが立ち、水蒸気と煙が舞い上がっています。
ブレーキのパフォーマンスを遥かに超えた重量の為、ハヤブサのブレーキが根をあげました。ローターは一発で真っ青に焼けてしまい、ブレーキもスポンシーでフェード直前です。
しかし、実際のレースではフロントブレーキはありませんし、そもそもこれほど強くブレーキを握らなければならない状況は無いので特に気にしません。この車両がもしもドラッグレーサーであれば、クルマのような強烈なブレーキシステムが必要だったと思います。
そんな感じで往復2本、計4回のテスト走行を無事終え、城里テストセンターでのテストは終了しました。
ここに来る前は色々な事がアタマを過ぎり、正直不安要素も多かったのですが、まずはホッと一息。
あとはモビテックさんによる走行データの解析と、ダイノを使ってプログラムを煮詰めて頂ければ、ボンネビルのコースに出してもその能力を発揮してくれるのではないでしょうか。

関係者の皆様、お疲れ様でした。そして、とりあえずはここまで有難う御座いました。

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