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2014年のボンネビルを終えて。

レースを終えて想う事を、つらつらと書いてみたいと思います。(長文失礼)

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2010年のボンネビル初挑戦から数えて5度目となるスピードトライアルが終わりました。

今年も去年製作した2000APS-PGクラスの”赤い”レーサーでしたが、金銭的、時間的な理由からエンジンはほぼ手直しする事はなく(ヘッドすら下ろさなかった)、チェック程度の簡単な整備+ダイノマシン上でのギアリングの再確認だけでアメリカに送りました。

これは今だから話しますが、フレームは同業者さんからタダで頂いた書無FLTRフレームですし、高価なオーリンズのFサス、コスマンのツリーやダイマグのホイールなどは某二輪中古パーツ販売店や友人から格安に入手した中古品です。またT/Mアッセンブリ+プライマリードライブもeBayで海外から中古を調達して使っています。マフラー等の造りモノも、FXLRレーサーから外して加工したものも多くあり、外観の派手さとは裏腹に、製作コストは以前のFXLRに比べかなり抑えられています。

製作フレームクラスの利点を生かし、自分のほぼ想い通りのカタチとなったレース専用車両ですが、去年は1次ドライブに問題が発生し、クラッチが2度壊れました。原因は1次テンショナーの問題だった訳ですが、やはり時間的、金銭的な理由で諦めた部分にストレスが生じ、最終日こそ166mphを超えていましたが、とてもじゃないけど満足出来る結果ではなかったと思います。

しかし今回。

新たにラムエアー化した吸気とエアロを見直した程度の変更点しか見当たりませんが、劇的に変わりました。

去年は250km/hを超えた辺りでフロントにウォブルが発生し、計測地点通過後の急激なスロットルオフで車体制御不能な感じがありました。
リアサスの無いリジットフレームではこんなものなのかも、と半ば諦め、乗り方や技術的なフォローでカバーするつもりでいましたが、そうではありませんでした。エアロと足回りのセッティングを煮詰める事により、回避出来る事がはっきりと分かりました。

今回、瞬間的な最高速度は280km/hを超えるあたりまで出てましたが、腕や内股のホールドを強く行わなくて良い程安定しており、弾丸の如く真っ直ぐと突き進む、素晴らしい車体になりました。

動画を確認して頂ければお判りになるかと思いますが、計測地点通過後に一気にスロットルを抜いています。去年はこれが怖くて出来ませんでした。
減速は基本ブレーキは使わず上半身を起こして風圧で減速するのですが、車体は左右に全く振れる事無く、エンジンから伝達するパワーが限りなくゼロに近い状態でも、一直線に走り続けていました。

足回りのセットアップの重要性に加え、リジットフレームでも超高速時の安定性の高い車体が造れるという事を身を以て体感しました。塩のコンディションと風向きを考慮し、主にフロントサスの伸びと縮み側を細かくセットアップする事を繰り返しましたが、これが毎回ピタリと決まり、足が良いのでステアリングダンパーで無理に抑える事をする必要性も無かった為、セルフステアが効いて終始コントローラブルだった事も特筆出来るかと思います。仮に300km/h超えを見据えたとしても、車体においては既に完成の域に達していると自負しています。

同じクラスのFIMレコードはV−RODデストロイヤー改の177.148mphなのですが、あと4〜5mphで追いつくところにいますから悪くはない、と感じています。
まだまだ燃料は薄い状態だったので、追加インジェクターをセットするか、フューエルポンプの排出量を大きくして大容量インジェクターで制御すれば、このままのエンジンでもまだ伸びると思います。

ボンネビルではアメリカの方は比較的ハイコンプな車両を好まれます。圧縮11や12は当たり前、14.0:1というような圧縮比の車両も少なくありません。ここまでくると2000cc自然吸気エンジン+ノーマルガスでも160〜170ps位出てきますから、壊れなければ速いんだと思います。

当方はこの5年間で一度もエンジンを壊した事がありません。それは偏に安全マージンをとったエンジンを組む、という事に尽きる訳でして、最初からセッティングが出せる環境があれば多少無理したエンジンを組んでも大丈夫かもしれませんが、ラムエアーといった現地で走らせなければ全くセッティングが出来ないような場合はかなりの大勝負になります。

例えば、今回の一本目のように、ガスが全然足りていないうえに人為的な凡ミス(緊張と、凄まじくHighに振ったファイナルで4速を5速と間違えていました。これはモーテルに帰ってGoProの動画を見て発覚)も加わり、高圧縮エンジンであれば壊れていた可能性は無かったとは言い切れません。
兎に角ボンネビルは全開時間が長いので、圧縮比は勿論の事カムにしてもポンプにしても、オイルにしてみても安全マージンを取るという事は個人的には絶対条件になっています。

これはストリートでも同様で、真夏の暑さや湿度、道路状況は絶えず良いとは限りません。最悪の条件を考慮したうえで仕様を決める、それがオーナーさんの意向と多少違っても、エンジンを保証する為にはそこは押し通すのが当店のやり方です。それは全て自分自身が経験してきた事をフィードバックさせて頂いているからこそであり、それはストックのショベルやエボであろうが、チューンドTCであろうが変わる事はありません。

ハナシが少し横道に逸れましたが、まぁ今回は本当に車体が良かった。

去年は、あんなの見た目だけの”SHOW BIKE”だ、と陰口を言うような方もいらっしゃいましたが、結果が出なければその通りなので言い返す事が出来ませんでした。

これだけ”美しく仕上がった”車両にも関わらず、結果が伴わないのは本当に悔しかった。
「美しい車両は速く、速い車両は美しい」というのが二輪でも四輪でも定説だと思います。

2年タイトルが捕れなかった事もありますが、何よりこの車両で勝てて、嬉しさ、というよりも今は安堵感、しかありません。

最後になりますが、ボンネビルは勝ち負けが天候にかなり左右されます。

コースが水に浸かったり、風でクローズになったりでコース上で最大8時間待った方もいたと聞いています。
2本あるコースもどちらに入るかによって待ち時間が異なり、結果的に走行本数の違いが車両の仕上がり具合の違いに出る事は当然だと思います。

今回、途中ストレスと寝不足から一度ダウンしたのですが、その日は風が出てレースが中止になりました。コースの選択も特に気にはしていなかったのですが、当方が走ったコースは上手く走る事ができたのに、もう一方では5、6時間待ったうえにクローズ、といった事もありました。
最後の最後にバッテリーが逝き、クルマからのジャンプコードで運良くリスタート出来ましたが、この時もしもECMが壊れていたら、全ては水の泡でした。

実力と運が無ければ勝てない、というのが当方が感じるボンネビル。

今回は何かが後押ししたレースだったと痛切に感じています。
それが何なのかは分かりませんが。

ただただ、感謝の念を持ち、今後の業務にあたりたいと思っています。



レーサーが戻ってくるのは10月初旬。

何処かのイベント等で見かける事もあるかと思いますが、そんな出来事が詰まった車両だと少し思い出しながらご覧頂ければ、此れに勝る光栄は御座いません。


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