2013.11.10 Sun
TC96 FXR 6速T/Mのトラブルシュート。
6速トランスでメインシャフトオイルシールからオイルが漏れるのは今のところ経験がありませんが、やはり原因はそこではなく、T/Mケースとオイルパンの接合面でした。オイル漏れは簡単に解決。

続いてクラッチ辺りからの異音です。念の為エンジンコンペンセータースプロケットを予備のパーツに全て交換。クラッチバスケットをもう一度分解してクラッチハブベアリングのアソビをチェック。




やはり1次ドライブには全く問題がありません。しかしエンジンを始動したままの状態で1次チェーンに無理にテンションをかけ(かなり危険です)、T/Mメインシャフトにストレスをかけると異音が大きくなります。この時点でT/M本体、それもギアユニットではなくベアリングに問題があると分かりました。
予算を抑える為、中古T/Mを流用する事で当初よりオーナーさんに了解を得ておりますが、こういった修理が必要になった場合は当然工賃は当店の負担となります。因みにユーザーさんの中古持ち込みパーツの取り付けをお断りするのは、こういったトラブルが出た際、保証出来ないからです。

という事でT/Mアッセンブリを抜く準備。折角組んだ1次ドライブもまた分解。



T/Mアッセンブリを抜き取るのはこれまでのエボやTC88の5速トランスとほぼ同様ですし、6速はシフタードラムやシフターポールまで完全カートリッジ式になっている為、特に難しい事はありません。しかしケースに残っているメインシャフト側の5速ギアとメインベアリングを抜くには6速専用のSSTが必要になります。
この5速ギアをケースに残した状態で手で回してみたところ、異音の原因がほぼ特定できました。メインベアリングがスムーズに回りません。また別のベアリングについても粉砕するという事例があったらしく、現在は対策品に変わっているという情報を得ました。6速T/Mは完璧だ、と思っていたところがあったのでその構造と使っているベアリングを観て正直ちょっとガックリしました。ケース側の構造もそうですが、ベアリングユニット自体を見直す事が得策ではないかと個人的には思います。
※なおこのT/Mは2007年モデルのものですから6速初期という事になります。ひょっとすると最近のモデルでは構造やベアリングのメーカーが変わっている、という可能性も無きにしもあらず、かも。調べる価値はありそうです。

SSTは持っていなかった為ヒートガンとハンマーで挑みましたが、当方のツール選択ミスと作業自体の間違いでケースを破損。本当に最悪、自分が情けない。オーナーさん、スミマセン。

ケースを修理する事と、ケースにメインベアリングと5速ギアを再度圧入する際ケース単体であればSSTが無くてもプレスを使って的確に作業が出来る為、この後車体からT/Mケースを下ろしてしまいます。

これが問題の原因のひとつ、T/Mメインベアリング。ダブルロータイプです。このタイプが高負荷に強いのかどうか分かりませんが、初期TC88のピニオンサイドベアリングに似た構造(こちらはBBケージがテーパー状ですが)のものが反対合わせに2個付いています。
初期TC88に流用されていたベアリングは、強度的な問題でもあったのか2年程で直ぐに廃止されました。当店では初期ツインカムのピニオンシャフト側ベアリング交換修理を複数台行っていますが、ベアリングを構成する材質がそっくりなので(どちらもベアリング玉のケージがプラスチック製!)、嫌な記憶が蘇りました。
なお、このメインベアリング、取り外す際はその構造上、破壊して取り外す事になります。なお写真は当店で予備に在庫していたものですので、破壊されてない新品のベアリングになります。

本日は”CAL FLAVOR”ですが、こちらの修理を今直ぐにでも行いたい気分です。
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